子育ての中の読書習慣

親の読書好きは遺伝する?

テレビや漫画ばかりじゃなく、本を読む子になってほしいと思う親は多いようですね。本を読むと理解力が上がったり、漢字が読めるようになったり、想像力がついたりするといったイメージがあるためでしょう。では、どうやったら読書好きな子になってくれるのか、また、親の読書好きは子供に影響するのか、考えてみました。

私の話をする前に、ちょっとした豆知識を思い出しました。池谷裕二氏の「脳には妙な癖がある」という本です。この中で、「母親の経験は子供に遺伝する?」という話があります。

これによるとある実験で、若い時期にトンネルや回り車など遊びの多い環境で育てたネズミと、遊びのない環境で育てたネズミでは、前者の方が迷路を解く能力が高くなり、さらにその能力がそのネズミの子どもに遺伝する傾向があったというのです。それも、その遺伝は父親よりも母親から子供にわたる確率の方が高かったのだそうです。

母親が訓練により得た能力は、遺伝子レベルで記憶されるということでしょうか。もちろん池谷氏も述べている通り、ネズミの実験ですからこれを人間に当てはめて考えるのはあまりに短絡的です。人間の場合は、生後の環境の方がより強く影響し、遺伝的な才能以上に後天的な能力を獲得できる可能性があると思います。

私自身の事

さて、うちの子どもの話の前に、私と私の親の話をします。私は大人になってやっと「趣味は読書」と言えるほどの冊数を読んでこられたかなと思っています。ちなみに主人は全く本を読みません。私の読書好きは、やはり親の影響があったと思います。

私の両親はかなりの本好きです。小さいころから、狭い家にはあふれるほど本がありました。両親は特に古典が好きでした。ドストエフスキーやチェーホフ、トルストイ、バルザック、シェークスピアなどの世界的文豪による作品が中心で、日本文学も志賀直哉だとか川端康成だとかいう本が多かったです。それも親が若い時に古本屋で買った本だったので、紙は茶色く変色し、字は小さくて余白が少なく、旧字体が使われているものも多かったです。ノンフィクションなどの本もありましたが、現代文学はほとんどありませんでした。

そんな環境で育ったら、さぞすごい文学少女が出来上がるとお思いでしょうが、意外とそうでもありませんでした。私はどちらかというと漫画っ子でした。小学生の時に夢は漫画家で、時間があれば漫画を描いて過ごしていました。私にとって「読書」というのは、世界文学などの難しい物を読む作業だという印象があったのかもしれません。学校の図書室も、長期休暇前など授業の一環で必ず借りなければならない機会があったときだけしか行きませんでした。

どんな本を読んでいたか

それでも好きだった本のことは、記憶の片隅に残っています。低学年では「鍵ばあさん」シリーズ、「こまったさん」シリーズ、高学年では江戸川乱歩の明智小五郎シリーズくらいでしょうか。あとは、子供向けの推理小説は好きだった記憶があります。クラスで人気の本がやっぱり好きでしたね。赤毛のアンやトムソーヤなどの古典は全く読みませんでした。

児童文学を卒業するころは、宗田理の僕らシリーズとか、ファンタジックなライトノベルとかを読んでいました。親にお勧めの本を聞くと、世界的な文学作品を挙げられ、挑戦するものの挫折してばかりいました。

やっぱりある程度の年齢になったら、読む本は自分で選ぶべきだと思います。年齢的なもののありますが、読書力というのはある意味慣れですから、いきなり難しい文章を読めと言われても、内容の面白さを実感できないままに終わってしまい、仮に無理やり読み終えたとしても、その後に何も残らないし、楽しかったという感想もないんです。

うちの子どもたちの場合


さてこれまで私自身の話ばかりしてきました。こんな子供だった私の子どもは読書好きになるかどうか?うちの子は世間一般から比べて、本の虫といわれるほど特別本が好き、という訳ではありません。でも、読書が嫌いなわけでもないようです。たまに気に入った本を見つけると、学校や学童保育の時間にのめりこんで読んでいるようです。こう書くと、なんだか私と似ているようにも思えますね。

私は子供たちにそれほど本を読め読め言わないですし、下の子は5歳ですから、ひらがなすら読めないので自分で読書どころではありません。ただ、絵本の読み聞かせはものすごく好きで、時間が遅くなってしまって「今日は遅いから寝る前の絵本はなしね」というと本気で泣きます。10歳のお兄ちゃんは、最近ポケモンのライトノベルを買ってあげたら喜んで読んでいました。アニメもいいけど、本はまた違う良さがあるようで、「頭に景色や情景が浮かぶくらい、本の世界にのめりこむ」という感覚がわかりつつあるようです。

読書が自然に感じられるようになるには

意識したことはなかったですが、案外うちの子らは今のところ本好きに育っているのかもしれません。少なくとも、読書に抵抗がないのは確かなようです。親が本を読んでいると、本を読むのが特別ではないように感じるのではないでしょうか。

自分が本を読んでいる姿を子供に見せる以外でも、子供に本への興味を持たせる方法はいろいろあると思います。私の経験で、特別本好きにさせようと思ってしたことではないものの、これが本を読むことが自然と感じるきっかけになったかなと思うことを、いくつかご紹介します。

まずはやはり読み聞かせです。寝る前は必ず絵本を読んでいます。今は10歳の息子と5歳の息子では当然好みが違うため、お兄ちゃんは聞いていないこともありますけれどね。以前は家にある同じ本を何度も読んでいたのですが、それでは読む方も飽きてしまいます。ちょうど週に一回、習い事に通うついでに図書館に行けるので、そこで毎週違う絵本を借りてきます。絵本も読んでみると、大人でも結構楽しい物です。毎週図書館に行くという習慣があるというのは、本がある空間に馴染むという意味でも、いいものです。

絵本の選び方

絵本を選ぶポイントは、基本は自分が読みたいものです。表紙とタイトルから直感的に選びます。でもこんな絵本が読みたいなとか、図書館でゆっくり選ぶ時間がなさそうな時は「絵本ナビ」を活用していました。年齢別に適した本が探せますし、テーマ別にも探せます。人気の絵本はどれもそれなりに面白いです。

ただ、本を読みなれていない時は、あまり教訓的な本は向かないと思います。幼児時代は「しろくまちゃんのほっとけーき」とか「ぐりとぐら」とか、おいしいものが出てくるのが鉄板でした。ちょっと大きくなったら、うちは男の子だったので、大人もおもわず笑ってしまうような、ユーモアあふれるくだらない絵本を選んできました。

何か勉強させようと読み聞かせるより、親自身が楽しんで読むのが一番だと思っています。親が楽しんでいるかどうか、もしくは自分に何かを学ばせようとしているのか、子供は案外敏感に察知します。親が楽しんでいると「読むって楽しいことなんだ」と感じてくれる気がします。

ABOUTこの記事をかいた人

30代後半、10歳と5歳の男の子の母です。 平日は、子供を学童と保育園に預けてパートタイマーとして働いています。慌ただしいながらも頑張りすぎず、気楽で楽しい育児をモットーに、賑やかで幸せな日々を送っています。