結婚すると友達は減る?
友達、といってもその定義は幅広いですよね。気を使わず過ごせる人、悩みを相談しあえる人、決まった場所でしか合わないけれど仲がいい人、お互いの家を行き来するほど仲がいい人などなど。会社の同僚は友達というのか、子供の幼稚園や小学校で一緒にPTA活動をしただけでママ友と言っていいのか。他人以上親友未満、というような存在が、たいていの人にはたくさん思い当たることでしょう。
先日、会社の同僚の人が「結婚してから友達が減った」と嘆いていました。ご主人があまり奥さんが仕事以外で外出するのを快く思わないそうで、仕事帰りにどこかに寄ることもなく、休日もご家族で買い物などをして過ごす日々が続き、気が付けば連絡を取り合っている人が数少なくなってしまったそうです。
結婚を機に引っ越したり、子供が産まれたりすると、どうしても独身時代のように頻繁に会う訳にはいかず、飲み会に行ったり、趣味仲間と共通の目標を持って活動したりといったことが難しくなったりします。でも、そうして会えなくなってしまった人って、もう友達じゃなくなってしまうんでしょうか。
産前産後の、私の友達づきあい
私は子供を産むまで、それなりに付き合いのある友達が多くいました。昔から折あるごとに集まる地元の幼馴染み、大学のサークルで出会った学友、予備校仲間、辞めてしまった職場の元同僚、現在の職場の同僚など。皆それぞれ仕事があるので、そうそう度々は会えなくなってはいたものの、暑気払い、誰かの結婚祝、誕生祝、新築祝、忘年会と称して、ランチや飲み会などに誘われれば顔を出していました。
私自身はあまり自分から計画を立てたり誘ったりするのが苦手な方でしたが、私の周囲はよく私を誘ってくれたので、なるべく行くようにもしていました。私は結婚が早かったので、独身の友達の誘いを一度断ると、次は誘われなくなるのではと思ったのです。
第一子を妊娠してからも仕事は続けていました。けれど悪阻がひどく、毎日が通勤と仕事だけで精一杯。とてもどこかに遊びに行く気にはなれませんでした。産休に入ったころには体調も落ち着いており、妊娠を伝えていた友人が「産んだらなかなか会えなくなるから」と、会いに来てくれたりもしました。
無事元気な長男を出産、そのとき私はまだ二十代でした。退院後も実家には戻らず、自宅で過ごしていました。口をきかない赤ちゃんと2人きりの生活は、次第に私を苛立たせていました。それまで1日中外出しない日などほとんどなかったのに、1か月ほとんどアパートの2階に閉じこもり、地上に降りることなく過ごすのです。
たまに両親や義母が来た時だけ、近所にふらっと買い物に出ましたが、完全母乳だったためあまり長く外出もできませんでした。2ヶ月を過ぎたくらいからようやく外出したりしましたが、真夏で猛暑だったため、それも制限されました。その頃私の友人の中には、結婚した人はいるものの出産した人はおらず、メールで相談できる相手も多くありませんでした。
妊娠前や妊娠中は仕事をしていて、アパートだったのでご近所付き合いもなく、家の近くに友人はいません。公園にも行ってみたものの、行っても誰もいなかったり、見かけても既に友達同士と見られる幼児ちゃんらのママさんたちだったりで、まだベビーカーから降りられないうちの子は一緒に遊べず、間には入れませんでした。
結局ママ友と言える友人は作れないまま、仕事に復帰する時期となり、それからは毎日が慌ただしく、友人と会うどころではなくなりました。休日は溜まった家事に追われ、公園に出かけることも少なく、また新しい人間関係を築こうとする気力もありません。
それでも、年に1回か2回は友人が声をかけてくれて、子供を実家に預けてご飯を食べに行ったりしました。その関係を大事にしたかったので、それ以上たくさんの友人を欲しなかったというのもあります。年賀状はなるべく出すようにして、完全には切れてしまわないようにつなげていました。
しばらくすると友達づきあいが復活する
息子の赤ちゃん時代に「友達が減ってしまう」という危機感を覚えた記憶はありませんが、今振り返ると友人と連絡を取り合ったりすることはかなり少なかった気がします。電話が鳴ることもメールが来ることもほとんどなく、気が付けば旦那と両親以外から電話もメールも受けていない日が1か月ちかく続いているときもありました。
子どもが3~4歳くらいになると、保育園での子供同士の付き合いも密になってきて、仲のいい子のお母さんとよく話すようになってきました。それでも保育園ですから、送り迎えの時間もバラバラで、いつも会えるわけではなく、メールアドレスを交換するまで随分かかった気がします。
やがて私の友人たちも結婚し、既婚者が半数を超えてくるころは、長男も赤ん坊ではなくなっていたので、いっしょに連れて行ったり、親に預けたりして出かけられる機会が増えていきました。また、友人たちにも子供が産まれると、友達と出産祝いを買いに行ったり会いに行ったりというイベントも増えました。
最近は子連れ同士で遊びに行ったり、ライングループで誕生日を祝いあったりもしています。この歳で誕生日にラインが来ると、嬉しいですよね。うちは家族や親、ときには自分ですら誕生日を忘れていることもありますから。
結婚前からの友達とママ友
先日、子供を実家に預けて幼馴染と飲み会をしてきました。昔からよく集まるメンバーは6人。でも、全員集まれることは多くありません。独身の子、既婚者でも子供のいない子、子供がもう大きくなってしまっている子、まだ子供が乳児で出歩けない子など、皆状況は様々。その時に集まれる人だけで、という感じでなんとなく年に2~3回は飲み会やランチを企画し、集まってひたすらおしゃべりに興じます。
独身の子や子供のいない子では、多少会話の内容がすれ違うこともありますが、それでも十分楽しく話せますよ。ただ中には不妊治療をしていてなかなか授からずにいる子もいますので、あまり無神経なことは言わないように気を付けてはいますが、気心知れた友人同士なので、そこまで気を使ってはいません。子供のことも話題にしますが、ただその話ばかりにならないようにはしています。
ママになってからの友人は、独身時代からの友人とはちょっと違いますよね。そもそも名前も知らず「~ちゃんのママ」という名前で呼び合うことも多いです。会話の中心は子供のこと、子育てに関する情報共有です。
そういったママ友は、子供同士が学校や保育園が離れたら、もう連絡を取り合うこともなくなるかなあという人が何人もいます。そういう関係が多いと、かえって親同士だけで親密な関係を築くのが難しくなります。これから十年後も連絡を取り合っていそうなママ友は、そんなにいません。
ただ中には、子供同士が親友で親同士も仲良くなることもあります。長男の親友のママさんはとても気が合って、よく一緒に遊びに行きます。地元の友人と違って年齢も出身もさまざま。でも、あまり気にはなりません。その方とは長くお付き合いしたいなと思っています。子供同士が気が合うというのは、親もどこかしら性格が似ているので、気が合うことも多いのではないでしょうか。
子ども同士がけんかをすると、親同士も気まずくなるという話も聞きますが、私自身は経験したことがありません。子供がまだ小さいからかもしれませんね。もう少し大きくなって、思春期の子供同士の関係が崩れたら、親同士も顔をあわせにくくなったりするのかもしれません。
頻繁に会うばかりが友達じゃない
友達はいいものです。情報ももらえるし、自分だけの殻に閉じこもってしまいがちなときも、ふと気づかせてくれる。なにより笑顔や元気をくれる。そして友達が自分を慕ってくれているということで、自己肯定感もうまれる。
子育て中はなにかと忙しく、時間にも気持ちにも余裕がなくてつい疎遠になってしまいがちですが、1年に一度でもライン等で連絡を取り合っていれば、完全に関係が切れることはありません。
不思議なもので、会うのが何年かぶりだったとしても、話しているうちにすぐにその時間は埋められます。時々「ママ」をやめて旧友と話してみたりすると、育児ストレスの解消にもなります。さまざまな友達、ゆるやかにでも、これからも末永くお付き合いいただきたいものです。