子育ては、親の我慢と子供の我慢

親の我慢はどんな時に必要か

親の我慢は自分との闘い
赤ちゃんが産まれると、赤ちゃんが泣いたとしても特別な事情がない場合、とにかく「可愛い」で、特別腹を立てたり怒ったりせずに育児をしている方が多いと思います。
ですが、子供に物心がついた一歳頃になってくると可愛いだけでは済まなくなってきますよね。
子供に自我が芽生えると、駄々をこねたり、時には親をイラっとさせたり、一筋縄では行かない時も沢山出て来るものです。
そんな時、親として感情だけで子供と接すると子供は親の感情を感じ取り、余計に癇癪をおこしたりもしますので、親としてグッと耐え、「怒る」のではなく「言い聞かせる」と言う行動が必要な時もあります。
特に子供が幼い頃は子供自身がそう簡単に我慢できるわけもなく、親が我慢して堪えると言う事の方が多く、子供との闘いでもあり自分との闘いでもあるのです。

親としての我慢を覚えるまで

子育てをして行くと色々な事態に遭遇します。
私の場合の「我慢」はまさしく「自分との闘い」そのものでした。
子供に自我が芽生えると「あれが欲しい。これが欲しい」「あれ嫌だ。これ嫌だ」と思うがままを口にするようになりますし、思い通りにならないと、時には大泣きしたり暴れたりする事もあります。
初めは「駄目だよ~」と優しく言うのですが、あまりに言う事を聞かないとついつい自分の感情だけで強い口調で怒ってしまう事もよくあり、後になって「なんであんな事で怒ってしまったのだろう」と反省する日々でした。

そして子育てに慣れて来る小学生の頃にでもなると、子供には関係のない事でイライラする事もあり、そんな時にちょっと子供が理不尽な事を言ったりしたりすると「もう!なんでそんな事するの!お母さん今忙しいからちょっと黙っていて!」と頭ではそんな態度は良くないと分かっていても、つい感情で怒ってしまったりしていました。
ですが、子供もその頃になると「お母さんは今機嫌が悪いから黙っておこう」と空気で親の顔色をうかがう様になっていました。
その事に気づいた時に私は「これは親として良くない態度だなぁ」と感じ、改めて子供に対しての接し方を考える様になりました。
私の場合、そこからが「親としての我慢」の始まりでした。

親になって初めて分かった事


私は昔から子供が大好きでよく近所の小さい子供たちの面倒をみたりしていましたし、幼い子に対してイライラする事など経験した事がありませんでしたので、まさか自分の子供に対してそんな風に接するなんて言う事は想像もしていませんでした。
ですが、子育てを経験して初めて「よそ様の子供はただ可愛がるだけで済むけど、我が子となるとちゃんと育てないといけないと言う責任感があるからか、可愛いだけでは済まないものなのだなぁ」と痛感もしました。
そして時には「私は本当に子供が好きなのだろうか?」と悩んだ事もありました。

「親としての我慢」が必要な時

子供が親に甘えてワガママを言うのは当然の事で、また逆に親もよその子が同じ事をしても許せるのに自分の子供がすると怒ってしまう事もあるでしょう。
それはお互いに気持ちが通じた親子だからこそである訳ですが、いくら親子でも子供は大人に強く怒られると言いたい事があるのに言えなくなってしまいますし、大人はそんな子供の気持ちを分かっていながらもとにかく言う事をきかせる為に怒ってしまいがちになります。
勿論、親も完璧な人間ではありませんのでそれも仕方のない事かもしれませんが、子供がワガママを言ったり言う事を聞かない時こそ実は「我慢」が必要なのかもしれません。

我慢は意外と難しい

私自身が「親としての我慢」を身に着けるまでかなりの時間を要しました。いえ、それもまだ完璧ではなく現在進行形かもしれません。

知人の中に「子供をしつけるにあたって、夫婦間で子供に対して絶対に怒らないと決めている」と言う夫婦がいます。
「子供は褒めて育てろ」と言う言葉を一度は聞いた事があると思います。
怒らない子育ても決して間違いではないと思いますし素晴らしい事だと思いますが、私にとって全く怒らない育児は「忍耐=我慢」以外の何物でもありません。

怒る事と褒める事

色んな形の子育てがありますが「怒らない育児」をどの様に思われますか?
いまだについ感情で怒ってしまう事がある私は偉そうな事は言える立場ではありませんが、「全く怒らずに子育てするなんて凄いなぁ」と思う反面、「時には怒る事も必要じゃないの?」と感じる時もあります。

確かに子供は褒めれば褒めるほど伸びて行きますので、褒める事はとても重要です。
ですが、本当に悪い事をして注意しても言う事を聞かない時、何度言っても分からない時、人様にご迷惑をかけてしまった時。決して親の感情だけで怒るのではなく、「子供本人の為に怒る事」も私はとても大切なのではないかと思っています。
本当に子供の事を考え、本当にその子の為を思って怒る事が出来るのは「親」しかいないと思うからです。そして本当に子供の事を考えて怒った時は子供にもしっかり伝わります。
ただ、怒った後にどのようにフォローするかがとても大切で、「怒る時は怒る」「褒める時は思いっきり褒める」と言うメリハリがとても重要だと思います。

子育てをしていく上で、親が自分の感情だけで怒る事は決して良くない事ですし、怒った方が良い時とそうでない時の判断をきっちりする事はとても重要で、それは時に親としての忍耐つまり「我慢」を要する時なのではではないでしょうか。

子供が必要な我慢

子供に我慢させる事は必ず必要

「親の我慢」とは逆に「子供の我慢」は更に重要です。
子供の頃から我慢できない子に育ててしまうと忍耐力の無い「ただのワガママな子」となってしまいます。
人間が産まれて死ぬまで一度も我慢せずに生きて行く事は出来ません。
そして幼いうちに我慢を覚えないと、大きくなってから我慢を身に着ける事は難しく、我慢せずにワガママばかりを言っていると周りにも敬遠されますし、社会では通用しない人間になってしまい、本人もとても辛い思いをする事になるでしょう。
では、どんな時に子供は我慢が必要なのでしょうか?

子供社会と我慢の始まり

子供に我慢を教える育児は、子供が本当に幼い頃からがベストです。
兄弟がいるお子さんは家の中お兄ちゃんお姉ちゃんと遊びながらルールを身に着けて行くと思いますが、一人目のお子さんの場合、対外的には公園デビューをした頃から社会的我慢を覚える事になると思います。一人目のお子さんの場合は何もかも独り占めで玩具一つにしても自由に使う事ができ、ママやパパも独り占めして自分が遊びたいように遊ぶ事が出来る環境が整っているのではないかと思います。

しかし、お友達のいる空間に行くとそうは行きません。
「玩具は譲り合って交代で使う」「順番を待つ」「仲良く一緒に遊ぶ」と言う大人にとっては当たり前のルール(常識)も子供にとっては初めての経験で、初めてお友達がいる空間に行くとなかなか馴染めない子もいれば、自分が使いたい玩具をお友達から取り上げてしまったり、順番ぬかしをしそうになったり、親がヒヤッとする場面に初めは何度も遭遇すると思います。
その時こそが子供に社会性を身に着けさせる時であり、子供にとっては我慢を覚える始まりになるのです。

我慢できない子は可哀そう!?

皆さんの周りにも色々な親子がいると思います。
みなさんはどんな親子と仲良くなりたくて、どんな親子を敬遠したくなりますか?
私の場合、それが明確になってきたのは子供が幼稚園の頃でした。
入園以前は親子共に気の合うお友達とばかり遊んでいましたが、入園後は色々なご家庭と接する事になり、さまざまな状況を目の当たりにする様になり、とても良いけいけんになりました。

実際の経験談

交流範囲の広いママとの出会いと疑問

ここからは私の経験談になりますが、いつもニコニコしていてとても感じが良い気さくな若いママがおり、最初は「仲良くなれそう」と思っていました。
そのママは言葉づかいも丁寧でとてもソフトな感じで「え!?この人ともお友達?」と言う程お友達の数はとても多く、いつでもどこでも学年問わずさまざまなママ達と交流している様に見えていました。
人見知りをする私から見るととても羨ましい事でした。
しかし、知り合ってから1年が経ち2年が経ち…フッと疑問に思う様になりました。
「沢山のお友達はいるのに、なぜ一定期間を過ぎるとまた違う人たちと一緒にいるのだろう?深いお付き合いのママ友はいないの?」と。
勿論誰しもが特定のママとだけ親密な関係を築いているわけではありませんし、一匹狼的なママも沢山います、人と接するのが苦手なママもいます。
ですが、そのママに関しては何かが違うのです。

気付くと友達が離れてしまう理由

そうです。このママは幼い子供が5人もいるのにも関わらずあまり子供の面倒を見ないママだったのです。
幼稚園の送迎の時にママが立ち話をしたり、公園で子供を遊ばせたりするのはよくある光景です。ですが大抵のママたちは立ち話をしながらでも常に子供に目を向け、注意を払っています。しかしそのママは子供を全く見ずに話しだけに夢中になっているのです。
そのせいで、3歳の子供さんが玩具の車で公園から飛び出して車にクラクションを鳴らされた事もありましたし、やりたい放題させているお陰で子供はルールや社会性を全く身に着けておらず、とても暴力的でお友達をよく泣かせたりケガをさせたりしていました。
ですが、子供の様子を見ていない為、なぜそうなったのかそのママは気づいていない為、周りのママ達がいつもフォローしたり、原因を分からずして事が怒ってから子供に怒鳴る様に怒るだけのため、子供はただ怒鳴られたから泣いているだけで何が悪いのかを理解出来る訳でもなく、周りからも少し冷たい目で見られる様になっていたのです。

5人の子供が5人ともやりたい放題で、上の子のスイミングをママが見学している時、大人のランニングコースを下の子が走り回ってもそのママは走り回る子供を放置。他のママが見るに見かねて面倒を見ている時もありましたし、施設利用者に注意されてもそこにはママはいないので、面倒を見ているママ友が代わりに謝ったりと言う事もありました。

そんな親子でしたので、最初はほとんどの人が仲良くなれそうと思うのですが、仲良くなったお友達も段々嫌気がさして離れて行ってしまうのです。
一見お友達数は多い様に見えていたのですが、実はみんな「この親子はちょっと…」と言う感じでだんだん距離を置くようになり、そのせいで次から次へとお友達が変わって行っていたのです。
そしてそのママだけでなく、我慢を知らずルールを全く守れない社会性のないその子供たちは、やはり周りのお友達からも段々敬遠される様になってしまっていたのです。

子供に我慢を教えるのは親の責任

上記の様な親子は私の周りでも珍しい存在ですしそうそういないとは思いますが、こうなって来るとやはり子供が可哀そうでなりません。
そのママは自分の責任で周りの環境をそうしてしまったのでどう思われても仕方ないと思いますが、ルールや我慢を教わっていない子供は自分では悪い事をしている自覚は全くなく、自分が楽しいと思った様に行動しているだけなのに周りに敬遠されてしまうので本当に可愛そうでなりません。

子供には子供の社会があり、ルールがあります。

親の教え方一つで100%ではないにしてもある程度子供も状況判断が出来る様になり、その時々の状況に適応出来るようになるものです。
そう考えるとやはり子供に最低限のルールを教え、我慢を覚えさせ、社会性を身に着けさせてあげる事が親の責任ではないかと思います。

必要ない我慢

親子でしてはいけない我慢!?

これまでは「我慢は必要」と言う事だけを書いてきたわけですが、何もかも全てに我慢は必要でしょうか。
私が思う親の我慢は「子供の事を真剣に考えての我慢」であり、ただ「怒って泣かせたら面倒臭いから怒る事はやめよう」と言う親の都合だけを考えての我慢であったり、子供に気を遣っての我慢は全く必要ない、と言うよりむしろ「してはいけない我慢」だと思います。

家庭外でしてはいけない我慢

更に、最近ニュースでよく見かける「イジメ」の問題。
イジメはどこからが「イジメ」でどこまでが「おふざけ」か。と言う事が焦点にはなって来ますが、ふざけている段階で嫌だと感じた事を「これ位」と我慢していると、それが気づかないうちにエスカレートしてイジメへと変わってしまう事があります。
そんな時は逆に、小さい頃から我慢ばかりを身に着けてきた子は「不要な我慢」をしてしまい辛い思いをしてしまうかもしれません。
我慢を身に着けさせるのも「ただ我慢させれば良い」と言うわけではありませんので、子育ては難しいものだとつくづく感じます。

我慢せず親に相談できる環境

そこで重要になって来るのが「親と子の関係性」です。
先ほど記載しました様に、親が子供に対して感情だけで怒ってばかりいると子供との関係性が良くなくなり、子供が親に何でも話せると言う関係ではなくなってしまいます。そうでなくても年頃になると、イジメられていると言う事を親に相談しにくくなるのが普通です。いかに子供が親に相談しやすい関係性を築くかがとても大切で、その関係を築くには幼い頃から親は自分都合ではなく子供の事を心底思って怒ったり、我慢したり、褒めたり、笑ったりと言う事が重要なポイントになるのではないかと思います。
それ位子供は敏感に親の気持ちを読み取るのです。
親に相談できる環境があると子供を守れるのです。

自分の子供を守れるのは親しかいない

子供はもしかすると時として大人より洞察力があるものです。
親が気を遣って行動すると、それをすぐ察知して自分でも分からない心の奥で寂しさを感じたりもします。
そうなるとお互い気の遣いあいでだんだん気持ちが通じにくくなってしまうかもしれません。
親が心を開き本音で子供に接する事で子供も心を開き素直になるのです。

我慢は幼いうちに身に着ける

我慢出来ない子は大人になっても苦労する

我慢にも色々ありますが、親は「子供に対して感情だけで怒らない我慢」、子供は「自己中心的にならない為の我慢=社会性を身に着ける為の我慢」が最低限必要だと思います。
いずれにせよ、今は昔の様に隣近所の人がみんな一緒になって子供に悪い事は悪いと教えたり、注意したりしてみんなで子育てをする時代ではなく、逆によその子が悪い事をしていてもなかなか注意出来ず笑って見過ごす事の方が多い時代です。
子供は親が教えないと我慢を身に着ける事など出来るわけもありません。幼いうちから「我慢」を覚えて行かなければ、大人になっても我慢が出来ず、ちょっとでも嫌な事やしんどい事があればすぐに諦めてしまったり、大変な事から逃げてしまったり、自分の感情だけを押し通そうとして周りに嫌われてしまったりして、周りに不快感を与えるだけでなく、自分にとっても決してプラスにはならないでしょう。
歯を食いしばる様な我慢を経験した子供は人に対しても優しくなれますし、どんな事があっても立ち向かう事が出来る様になり、自分の人生に大きな道が開けると思います。
大切な自分の子供を取り巻く環境をよりよくす為にも、ぜひ「我慢」は子供の内から身に着けさせたいものですね。

ABOUTこの記事をかいた人

1975年生まれ(41歳)の「10歳の男の子」と「7歳の女の子」のママです。 「死産」「流産」と辛い経験を乗り越え、日々悩み、笑い、周りの協力を得ながら楽しく育児しています。 ワーキングママを経験し、現在は専業主婦をしながら子供と一緒に成長中です。