ここ最近は日本国内外問わず女性の活躍は目覚しいものがあります。しかしながら沢山の優秀な日本人女性が出産を期に希望しているにも関わらず仕事継続を諦めているケースを沢山目の当たりにしました。
私自身は産休・育休合わせて2ヶ月の取得で職場復帰をしたママですが、そこで得た経験と周りの他の働くママの状況についてご案内したいと思います。
子育てと仕事の両立の可能性について
日本国内外問わず、後者のキャリアを継続させるためにはまず勤務中に子供の面倒を見てくれる人、環境が整っていなければまず難しいでしょう。香港やシンガポールの様にメイド(お手伝いさん)がパートであれ、住み込みであれ一家に一人いるのが一般的な国では出産後、母体が十分回復した後に職場復帰をするケースが殆どです。逆に出産を期に退職する女性自体は殆どいないのではと感じた程です。
今回は香港やシンガポールにて仕事をされている現地の女性若しくは日本人女性のケースでお話しますが、どちらの国も2~4ヶ月有給産休を取得できます。その後は無給育休取得となりますので、無給であること、そして家で子供を見てくれる人が他にいる環境が整っている状況いであれば家族やメイドに子供の面倒を託し、職場復帰をしたいと思う女性が多いようで大体の女性が4ヵ月後には職場に戻り、以前と同じ業務を続けています。
私の周辺の環境も同じでした。職場内にいる同僚が妊娠し、産休に入ったと思ったつかの間にスレンダーな体型で数ヵ月後にあっという間に職場復帰をしており驚かされたものです。ブランクも殆ど無いため、業務に支障をきたすことは殆どありません。かつ定時で帰宅をし、早く子供の顔を見たいという強い意志を彼女たちは持っていることもあり仕事のスピードが出産前以上に早くなっており、驚きました。
会社によっては会議室のうちの一つを母乳搾乳室として設け、勤労ママの母乳搾乳環境も整えているところも見受けられます。上記の香港とシンガポールですと特に国土が狭いことから自宅と勤務地が近いこともあり、赤ちゃんのいる自宅へ昼食休憩中に戻り、授乳した後ママ自身もランチを食べてから職場へ戻って午後の勤務を続ける、ということも可能にしていました。
搾乳ではなく、赤ちゃんに直接授乳させてあげられる環境ですと赤ちゃんにとってもママにとってもいい事尽くめですよね。
ここまでお話しますと、もしかすると仕事を続行できるかもしれない、と思われる方も多いかもしれませんが、上記状況が一つでも異なると仕事続行はとても難しくなります。いくつかの例を次の項目でご紹介したいと思います。
仕事・キャリアを諦めざるを得ない場合
結論から申し上げると子供の安全、成長の妨げになる様な状況であるのであれば、キャリアは一度諦めたほうがよいのではと思います。どこでもよいから保育園へ預けて仕事に戻る、という選択肢だけは取ってはいけません。昨今保育園で預けていた子供が虐待されたり、海外ではメイドに子供を虐待されたという話もあります。大切なわが子の安全を脅かす可能性が高い環境に預けて自分のキャリアを求めるぐらいであれば仕事を一度諦めることを検討すべきでしょう。
海外では時短ワークという半日勤務であったり、週3日勤務等、正社員でありながら就労時間を調整する選択肢が準備されていますので、先ほどご紹介した香港、シンガポールで勤務されている方は選択肢がまだ残されています。しかしながら現在の日本の保育園の数、実母や親族になかなか子供の面倒を依頼できない状況を考慮しますと、なかなか企業へ時短ワークの相談しにくく、また、会社としてもそのような勤務体制を準備するのは至難の業であると聞いています。
でも辞めることを決意する様な状況であれば一度会社の人事担当へ相談してみることをお勧めします。もしかするとあなたが知らないだけで、子供を持つ従業員のサポート体制は出来てきているのかもしれません。
私達夫婦は家族のサポートを得ることが出来、かつ幸いなことに職場の隣に設置された設備の整った素晴らしい保育園に子供を預けることが出来ているので仕事と子育ての両立が可能になっています。正直なところ、こんなにも恵まれた環境が全ての人に当てはまることはあまりないと思います。
もし、保育園が近くに無かったら、もし両親のサポートを頼めなかったら、と考えるとやはり私は仕事を一度辞めていたと思います。
保育園が素晴らしい施設であっても子供は風邪を引き、熱を出します。そして保育園で子供達が風邪を移しあうことは毎日の様に起こります。子供が熱を出したら保育園は預かれませんので、自宅で看病をしなければなりません。パパママ共に働いていたらどちらが子供の看病のために休みを取得出来るか調整しなければなりませんし、家族内で風邪を移しあうことも多くあり、日々病原菌との戦いの様な状況です。
心身ともに親がストレスを感じるのであれば、改善すべきでしょう。子供は親をよく見、よく感じ取っています。無理な仕事復帰と子育ての両立は親子双方の精神状態によくありません。
従って仕事を諦める、又はキャリアを諦めるという選択肢も幸せな生活のための一歩なのです。折角私達を選んで産まれてきてくれた子供達を不幸にしないようにするためにもよくパートナーとどの様に育てていくか話をすることは大切です。
出産育児中で取得した休暇中の焦り
私自身の経験をお話したいと思います。妊娠3ヶ月後、会社へは当然ながら出産予定日等は伝えており、私が不在時のサポート体制はチームで既に振り分けてもらっていましたが、やはり初めての産休取得ということもあり、理由も無く不安になり、職場へ復帰しなければと出産前から気持ちは焦っていました。実際産休中は依頼された仕事が私が不在である理由で他同僚に振り分けられ、滞りなく業務が進んでいましたが、子供がいなかったら自分で対応出来たのに同僚に迷惑をかけてしまった等と考えて申し訳なく思ってしまう日も有りました。
私自身の出産に伴う休暇期間取得は日本の一般的な産休や育休取得期間と比較し、短目の2ヶ月休暇取得でしたが、一度職場から離れるということには変わりませんので懸念点は残ります。しかしながら母体の回復も含め、産後2ヶ月程のこの期間はどの国でも休暇取得を推奨、または義務付けています。ということは最後2ヶ月はしっかりと休み、子育てをすべき時期なのだと頭を切り替え、生まれてきた子供とゆっくり時間を過ごすことに徹しました。
この時の不安、焦り、懸念点を打ち消してくれたのは上司と同僚でした。上司から産休中、育休中の仕事はチームが全部引き受けるからまずは元気な子供を産んできなさいと送り出してくれたのです。そして同僚は週一回程度の電話で代理でこなしてくれた業務内容について簡単に教えてくれ、最後にいつも子供の様子を聞いては成長を一緒に喜んでくれました。
一般的には同じような境遇の同僚、上司であればより理解を示し、休暇中のサポートも経験者として対応してくれると聞いています。ですが、実は私自身の上司、同僚共に子供はいません。それにも関わらず、皆温かく送り出してくれ、休暇中も私が心配しないように、しかしながらストレスを感じないように業務進行状況を共有してくれました。
どのような状況がより適しているかは皆さんそれぞれですので一概には言えないとは思いますが、私自身の経験からですと、休暇中しっかりと子育てが出来るかどうか、また、休暇後気持ちよく職場に戻ってこれるかは同僚と上司の対応にもかかってきます。いくら会社の方針で育休を推奨していても、働く部署の上司やサポートをしてくれる同僚の理解が得られないと難しいでしょう。
そのためにも日ごろから自分自身の所属する部署の上司、同僚とはよくコミュニケーションを取り、お互い気持ちよく仕事が出来る様に支えあうことを心がけることをお勧めします。
職場復帰して辛かった時
私の仕事は出張も多くある業務ですので、職場復帰したと同時に出張へもいくことになります。産後数ヶ月の子供を夫、または両親に預けて出張へ数日行った際ホテルで一人で寝る際に一緒にいられなくてごめんね、と心の中でつぶやきながら泣いたものです。
母乳をあげたくても定期的に数日と子供から離れると母乳も出てこなくなりますので、早目の卒乳となり、他の赤ちゃんが街中で授乳させてもらっている光景を見てしまうと、今母乳をあげられなくてよいのだろうか、本当に今母親である私が抱っこをしていなくてよいのだろうか、子供の傍に今いなくて良いのだろうかと悩み、いつも最後には仕事自体辞めてしまったほうが良いのではないかと悩んでいました。
子供はあっという間に成長します。数日の出張の間見ないだけでも随分成長しているものです。この成長を近くで見ていなくて良いものなのか、母親失格なのではないかしかし今辞めてしまったら支えてくれた上司をはじめ、同僚にも顔向けが出来ないと随分悩み、一人泣きました。また、子供が40度近い高熱が出たときも母親である私が面倒を見ずに誰が見たほうがよいのか等、自分自身の中の葛藤はかなりあったものです。
結論から言いますと、この時は幼児担当の看護師経験を持つ義母に面倒を見てもらったので、新米ママである私自身が面倒を見るよりもよほど的確な処置をしてもらい大変助けられました。
この40度発熱経験より、無理をせず頼れることは周りの人に頼っていこうと心を決めました。
それでも仕事・出張から帰ってきて子供が笑いかけてくれると不思議と力が出、これからも頑張ろうと思えるのが親というものなのでしょうか。なので一緒にいれるときは全力で一緒に遊び、一緒にご飯を食べ、一緒に寝るようにしています。ある程度悩みが吹っ切れ、気持ちが決まったのもこの時期でした。仕事中は仕事に集中、家に帰ったら家族に集中という切替がようやく出来る様になってきました。
そうはいっても子供と離れている時に子供の様子が気になってしまう時はあります。そんな時は面倒を見てくれている夫や両親から写真や動画を携帯アプリ等で送ってもらい子供の成長を確認しています。まだ子供がおきていればビデオ通話などで話をしています。こんなに手軽に離れていても状況を確認出来る世の中にも助けてもらっているのだと実感する今日この頃です。
私の考えのどこかに母親が子供を育てなければいけないという固定観念がどこかにありましたが、昔日本で言われていた「子供は皆で育てる」ということを今更ながら体感しています。ママも四六時中子供の面倒をみていたらそれはそれで辛いこともあると思います。皆で手分けをしながら子供の面倒を見ていければ、ママも自分の時間が出来リラックスできます。そして子供の面倒を見るときに更に一生懸命子供に向き合え、さらに良い環境となります。
少し肩肘を張って頑張り過ぎるよりは少し楽に構えて、環境が許す限り皆で一緒に子供を育てていこう、と思うだけでも仕事も楽しく、子育ても楽しくなるのではないでしょうか。
今後のキャリアと家族計画について
沢山の人々のサポートを得て無事職場復帰をし、現在に至りますが、子供を二人、三人欲しいと思っている私達夫婦は今後どうすればお互い仕事を継続しながら家族を増やすことが出きるのか悩んでいるところです。
いつまで両親にサポートをしてもらえるか、また、お互いの転勤の可能性、等色々考える様になってきました。
産まれたばかりの頃は二人目なんてまだまだとても先のことは考えられないという無我夢中の状況でしたが、成長著しい1歳~2歳の走り回って笑いかけてくれる子供をみていると、もう一人欲しいね、という話が出てきます。一人だけでも大変なのに果たして私達に二人目の面倒も十分見ることが出来るのか、とまた悩みに悩んでしまい、なかなか方向性を見出せていません。
そんな中、最近三人のお子さんがいるキャリアをお持ちの日本人女性とお会いしましたが、その方から「努力は報われる」、「存在しない問題点のために悩むのは無駄時間」、「家庭と仕事は切り離す」とアドバイス頂きました。このアドバイスのポイントは自分の精神状態を鍛錬し、出てきた問題に即座に対応できる応用力をつけるということの様です。
そのためには情報、知識、経験が必要になってくると思いますが、私自身どれもまだまだ欠けている新米兼業ママですので、暫く模索する日が続きそうですが、また新しい壁を乗り越えられた時は改めてご案内出来ればと思っています。