海外の子育てを取り巻く環境と支援について

日本と海外の子育てを取り巻く環境は大きく異なるように感じます。制度、自治体の補助、保育園の状況、医療面と様々な面で国により異なりますが、今回は私達夫婦が滞在した諸外国と日本とでの子育てを取り巻く環境の比較をご案内したいと思います。

子供をどこまでつれていく?

子供が1~2歳の時期に何回子供と一緒に外へ行った事がありますか。また、バスや電車、飛行機等の家族以外の人が利用する乗り物で外出、旅行等に行った事がありますか。
私達夫婦は生後数ヶ月の子供をつれてよく外食へも行きましたし、海外旅行へも行きました。もちろん定期健診等で主治医の意見とアドバイスを聞いた上で月齢に応じ、赤ちゃんとのお出かけや旅行について問題が無いと診断を頂いた上で、となります。もちろん最初は本当にこのか弱い赤ちゃんと外へ出かけていってよいのだろうかと悩みましたが、当時居住していた国では特に沢山の赤ちゃん連れパパママが赤ちゃんとお出かけしていたのを多く見かけていたので、外出する様になりました。

手伝いに来てくれていた私の母は私を産んで育てていたときは最初の3ヶ月は病院以外外にも出さなかった状態であったということもありその光景を見てかなり驚いていました。こっちのもあっちにも新生児みたいな生まれたばかりの様な月齢の赤ちゃんをショッピングモールで見かけます。そして驚くことに、かなりの率でパパである男性が抱っこをしており、お母さんと思われる女性の買い物に付き合っていました。
電車の中には沢山のベビーカーが並びバスの中は様々なベビーカーが折りたたまれて並び、ベビーカー販売所かと思う程、皆さん赤ちゃんや子供と外出していました。
誰一人赤ちゃんが泣いてしまっても嫌な顔をせずに赤ちゃんが泣いてしまうのは当然、知らない人同士でも何か助けられることはあるかと声を掛けるという温かい環境でした。
母親だけが面倒をみるのではなく、父親も然り、そして周りの人子供大人も参加しているというのは他人と距離を保ちたく考える日本人としては不思議な光景なのかもしれません。たまたま私達が滞在した国が赤ちゃんや子供に寛容なそして皆で助けられるときは助けようと思える国であったのかもしれませんが、こうした周りのサポートがあるお陰で子連れでも遠出をすることが出来ましたし、新しいところへ子供を連れて行ってあげることが出来ました。

ところが、日本へ一時帰国した際は私達夫婦はほとんどと言ってよいほど実家と実家の周りを歩いただけで、外食や旅行は子連れではしていません。
どうしても他の人の目や今までの習慣が気になるからです。東京という大都会の中で通学、勤務していた頃は電車やバスに赤ちゃん連れを見ることは殆どありませんでしたし、ベビーカーを見かけることも余りありませんでした。日本では赤ちゃんや子供は家にお母さんと一緒にいるものなのだという先入観があったこともあるのかと思います。そして一番の理由は公共交通機関を利用した際に嫌な体験をしたことで、その様な思いをしたくはないということで外出を控えました。
数日の滞在であったのが幸いでしたが、これが実際日本に住むとなったらどうなっていたのかと思います。ちなみに、その嫌な体験というのがどうしても電車や新幹線を使わなくてはたどり着けない実家へ空港からに帰る際に起こりました。長距離フライトで駅構内をベビーカーを押していた際に、私たちを通り過ぎた人が舌打をしていたこと、電車内で子供が少しでも音を出せば嫌そうな顔をされたことは外出を控える様になるには十分な理由です。

日本から出、海外で生活・仕事をするようになってから沢山の国へ行き、その際に色々驚いたことがあります。電車やバスには沢山のベビーカーと赤ちゃんを見かけます。新生児であろう子供が入ったベビーカーを押したお母さんが買い物に行く光景を多く見ますし、日本ではあまり見かけない子供がレストランで家族と一緒に食事をしている光景も多く見られます。もちろんお子様連れお断りの様なレストランやホテルはしっかりとそのメッセージを対外的に伝えています。そうでないレストランの大半は子供用の椅子や子供達が遊べるコーナー等までも用意されていることから、レストラン自体がお子様連れを逆に推奨している状況でした。
また、旅行へ行く際は国外の旅行先のホテルでは殆どのホテルがベビーベッドを無料で貸し出ししてくれていました。

国の政策、習慣、環境によって様々ですが、往々にして子供が公共交通機関にいること、旅行先にいることを禁じるような雰囲気に出会ったことは日本国外ではありませんでした。その分欧米諸国を中心に、子供をしっかりと躾けているのでしょう。公共の場で子供達が喚く、という状況をあまり見たこと無いのも一つの特徴ではあるかと思います。
流石に仕事場に子供を連れてきている同僚を見たときは驚きましたが、総じて子供の存在を疎むような態度を取ることはあまり海外にて感じることはありませんでした。

政府による子育て支援の違い


どこの国も基本的に保育園は足りていないのが現状の様です。しかし保育園で間に合わないのであればベビーシッター、ナニーが存在出来る様な仕組みをある程度作り、パパやママが仕事に復帰し易いような環境を整えている先進国は多く見受けられます。このベビーシッターやナニーは外国人が活躍できる職種でもあり、また、子供や過程にとっては子供の面倒といった点だけでなく、多言語に触れる可能性も秘めている制度です。
もちろん他人に子供を預けるので信用問題、異文化背景のため、相互理解の不一致、費用の面等様々な乗り越えなければならない問題もありますが、一つの選択肢として存在するのはありがたい話ではないでしょうか。

日本でお手伝いさんやベビーシッターを雇うのはとてもではないですが金額的な面なども含め出来ないことでしょう。そもそもそういったベビーシッターという専門の人が少ないこともありますが、なにより日本人自身である私達があまり他人に家にいて欲しくないと思うこともベビーシッターに子供を預けるというしくみが広がらない理由として背景に大きくあると思います。
子供手当てという現金支給は物要りの時期にありがたい制度・仕組みでもありますが、現実問題、現金のみでは解決できない人手に頼らなければ解決できないことも子育てには多々あります。日本の政府にも子育ての制度を新しい時代の必要に応じた形に調整していく必要が出てくるのではないでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

海外で妊娠、出産の経験を持つ30代兼業主婦ライターです。様々な国で働き、様々な子育て方法、子持ちママを取り巻く環境を見てきました。自分自身の経験を含め、日本国外で存在する子育て状況や兼業主婦の状況を独自の目線でお届けしたいと思います。