発達障害の子がいじめられないために

‘いじめ’という問題は大きな社会問題です。子供にいくら「いじめはやめましょう」と力説した所で、大人社会でもいじめはたくさんあります。自分を守るために見て見ぬふりをしている人達もたくさんいるでしょう。
私も子供の頃は2回、いじめに遭いました。私の場合、転校生だったのもあり、勝手にすればという気持ちが強く、大して相手にしなかったのでひどいいじめにはならなかったのですが、どうしてもいじめる子がいて、いじめられる子がいて、最初は冷かして遊んでいたつもりがどんどんエスカレートしていってしまうのかもしれません。

状況がわからないということは

発達障害の子を持つ親として、一番怖いのは「いじめに遭う事」です。なぜなら、まず、いじめられている、いじわるを言われている、冷かされている、状態に気づかないからです。みんなが笑っているから楽しいのかもしれないと勘違いしたり、相手の一言一言全てに反応して怒ったりするので、周りがそれを楽しんだり、相手の気持ちも空気も状況も読む事が難しい発達障害の子にとって、気づいたら‘いじめ’の中に入ってしまっている、という事も多々あると思います。長男の場合も、小学3年まではいろいろとありました。

  • 1年生の時、通学中に走って逃げられる
  • 公園で遊んでいると長男が持っていったボールを友達に取られてしまい、2,3人で長男を挟んで投げ合っていて返してくれない
  • 毎朝、同じ上級生に頭をたたかれる
  • 教科書を真っ二つにやぶかれる
  • 「おまえの悪口を言ってるぞ」と嘘をつかれ、怒る長男の反応を笑われる

まだありますが、ざっと抜き出しただけでも長男にとっては全て嫌な思い出となってしまっています。初めのうちは、いじわるされている事はわからなかったのですが、毎回笑われていると、笑われたくない、という思いから過剰に反応し、怒るようになっていきました。家に帰ってくると、なんでこんなひどい事を言われなきゃいけないんだろう、僕が何をしたのだろうと泣き出す事もありました。きっと、長男の反応や態度、話し言葉にも何か気にかかる事があって、そこを冷かしたくなるのかもしれません。
「男の子なので」少しくらいの事は許してね、というような言い方をしてくる親御さんもいらっしゃいます。冷かす側にしてみれば、いじめる側にしてみれば、少しくらいの事なのでしょう。その少しくらいが溜まっていけば、少しじゃなくなるんですけどね、親御さんにしてみても加害者側になっている意識は少ないのだと思います。こればかりは私にはどうする事も出来ません。加害者にならないで、といくら訴えたところで無理でしょう。ですので、被害者にならない事を長男に提案しました。

  1. まず、いじわるをする、冷かしている時点で、相手は長男の事を上だと思っていて、いじわるをして悪口を言って長男を落とす事で相手が上に立とうとしている、と思う事。
  2. そして、やられたら、やり返す。言われたら言い返す。叩かれたら叩き返す。やられっぱなしにならない事。泣いたりパニックをおこしたりして終わらない事。
  3. 最後に、人より強くなる事。いざとなったら相手をやっつけられるだけの技術を身に付ける事。

言い返し方はかなりのパターンを教えました。バカアホマヌケ、レベルではなく、理屈で返す方法です。「そういう言い方をされるとものすごく腹が立つんだよ。」「そんな言い方しか出来ないのか。」というような長男の気持ちをダイレクトに伝えておく、周りに聞こえるようにしておく、そしてちょっと嫌味を含めた正論を並べると、最終的に相手は、何も言えなくなってしまうものです。
そして、体力をつけました。走りを練習し、子供の陸上競技大会出場を目指し、長男が2年の時から2年間、毎週旦那と次男と、走る練習をしました。大会にも出場し、運動会の徒競走でも1位を取る事が出来(万年ビリだったのですが)、クラスメイトの見る目が変わってきました。大会出場後は、水泳とボクシングに方向転換し、蹴伸びすら難しかった長男が、今では一気に200m位泳げます。ボクシングも元経験者の旦那が少しずつ教え、やられてもやり返せるだけの強さと技術を伝授しています。その成果もあるのか、今では長男は「僕は負けない」と思っています。何か言われても言い返すし、力では長男には敵わないとクラスメイトに認識させる位にまでなり、長男に手出ししてくる子も意地悪な事を言ったり冷やかしたり、という事もなくなりました。昔はよく意地悪な事を言っていた子も、最近は仲間として長男の事を見てくれているようで、先日、長男が下校中に転んで大けがをして帰ってきた時に、友達が4人も長男と一緒に家までついてきてくれ、ランドセルや荷物を持ってきてくれました。その姿を見た時に、もう、やられていただけの長男ではなくなったのだ、という証拠を見せてもらった気がしました。
被害者にならなければ、いじめに遭う事もない、一概には言えないのかもしれませんが、ただ心配して不安になっているより、ずっといい結果になったと思います。出来る事は必ずあります。これからも私達は、家族で乗り越えていけると、そう思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

2人の男の子を育てている主婦です。(現在小4と小1) 長男が発達障害のため、ちょっと変わった子育てをしています。 今年から次男が小学校に入ったので、少しずつ自分の時間が持てるようになりました。 そんな私のちょっと変わった子育てのお話を紹介致します。