発達障害と運転について考える

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先日、テレビで、発達障害の方へ配慮のある指導をしてくれる自動車学校の特集を見ました。社会が発達障害の特性を理解し、出来る方向へ一緒に向かって動いてくれている事を、とてもうれしく思いました。
反面、今の私には、運転免許を取る事に、何のアンテナもありませんでした。長男がまだ小学生だからでしょう。私は高校在学中に免許を取得したのに、長男がこの先、免許を取る事は、長男の未来像の中には入っていなかったのですね。
ですので、テレビの特集で、発達障害の方達が免許取得に大変苦労している事実がある事に初めて気づき、まだまだ知らない事がたくさんある事に気付かされました。発達障害の特性のために、健常者よりも免許取得に苦労してしまう、免許を取ることを周りに反対されてしまう、そのような悩みがあるようです。
今回は、発達障害の方が運転するという事について、考えてみたいと思います。

免許取得が大変になってしまう理由とは

発達障害だから、免許が取れない、運転が出来ない、という事はありません。
運転するには免許の取得が必要ですが、その時点で大変な思いをしてしまう方、その逆でスムーズに取得出来てしまう方、どちらもいらっしゃるようなので、発達障害=免許が取れない、という事はありませんね。
免許取得に関してのポイントとして、3つあると思います。

  1. 学科
  2. 技術
  3. 臨機応変な判断と対応

学科に関して

発達障害のそれぞれの特性により、健常の方と同じ方法で学習が出来ない事があります。
学習障害の中の読字障害があれば、まず教本を読むことが難しいかもしれません、読んでも理解できずに覚えられない方もいるでしょう。
学習障害以外でも、体験していない事を想像する事が難しい場合があるので、教本にある実例が理解できない事もあるでしょう。
どちらにしても、特性により覚え方が違うので、一斉に授業を受ける学科は、健常の方と同じ方法では理解できずに学科試験に何度も落ちてしまう、という事が起きているのかもしれません。

技術について

おそらく空間把握が苦手な方の場合、技術は難しい事が多いかもしれませんね。車庫入れとか、車線変更など、車の大きさを把握した上で、ミラーをみながら運転をしていくわけですから。
例えば、発達障害の子供で、背中の感覚がわかりづらいという話がありますが、その感覚に似ているのではないでしょうか。運転している車を外側から見ているわけではないので、ハンドルだけで微調整する事は確かに難しいような気がします。前を見ながら横と後ろも把握して、自分を上から見て道路上での位置を想像するという事も苦手な方はいるでしょう。
他にも考えられる事は多々ありますが、健常者が難なくクリアしてしまう事の1つ1つが、特性があるがために壁になってしまう事は理解出来ます。

臨機応変な判断と対応について

発達障害児の親として、一番耳が痛い‘臨機応変‘という言葉。その場の状況を把握する事、判断をするという事、一番適切である行動・対応をする事、どれをとっても特性として苦手感がある発達障害の方は多いと思われます。
学科も技術も、特性を配慮した勉強の仕方・教え方によって、取得する事は出来ると思います。
しかし、この臨機応変な判断、臨機応変な対応、というものは、毎回同じ事例があるわけではなく、毎回その場その場によって違うわけです。この違う場、が発達障害の方のマニュアルにないと、似たような場面と同じカテゴリだと認識されずに「知らない、わからない」が出来上がっていく事が想定出来ます。運転する頃には、年齢と共に社会経験もある程度あるでしょうから、程度の差こそあるにしても、この辺の事が難しく、「大人の発達障害」と言われている所以でもあるような気がするのです。
運転は、臨機応変な判断で事故を回避したり、瞬時の判断で右折・車線変更をしたりしていくものですから、判断が遅ければ大きな事故になりかねませんからね。慣れで、どこまで安全に運転していけるのかは、当人次第なのではないでしょうか。
また、ナビを見ながら、メーターを見ながら、ミラーを見ながら、ハンドルの微調整、ウインカー、車間距離、など一度にたくさんの神経を使いますから、指先・足先までの伝達が遅いようであれば難しくなってくるかもしれません。しかし一方で、交通ルールはしっかり守るという特性もあると思います。個人差はあるとは思いますが、決まりやルールはきちんと守るという事も特性の1つです。
また、長男のように、視界に入ってくる情報を、画面ごと一気に把握する事が出来る、驚きの特性を持っている場合もありますから、健常者よりも早く瞬時に気付く事が出来る事も考えられます。
特性があるから運転出来ない、と簡単に結論を出すのではなく、運転するという事に対して当人がどこまで出来るのか、という事をしっかりと考えた方がいいと思います。

交通は配慮をしてくれない

発達障害の方が、周りの人への配慮を求める事はできますが、実際に運転して道路に出た場合、交通は配慮をしてはくれません。ここが、発達障害の方は重々に理解しておくべき事だと思います。
自分の車以外の全ての車や信号、歩行者など、当然ですが何一つ、誰一人、配慮をしてくれるわけではありません。発達障害の特性があろうがなかろうが、健常者ベースで作られたこの社会に、発達障害側の方達が完全に合わせていかなければいけない事です。
「私は発達障害だから、ぶつかってしまった」というのは理由にはならないので、ご自身の特性をよく理解し把握した上で、運転するという事を考えていけばいいと思います。
またこの事は、健常者も同じです。自分の癖をよく理解し、把握しながら運転をする(運転すると人が変わると言われる人がいるように)のは、ドライバーとして当然の事です。一歩間違えれば、自分だけではなく他人の人生にまで傷を負わせてしまう可能性がある運転は、どんな人であっても真剣に・慎重に考え行動していく必要がありますね。

ABOUTこの記事をかいた人

2人の男の子を育てている主婦です。(現在小4と小1) 長男が発達障害のため、ちょっと変わった子育てをしています。 今年から次男が小学校に入ったので、少しずつ自分の時間が持てるようになりました。 そんな私のちょっと変わった子育てのお話を紹介致します。