子供に暴言を吐いちゃった。子育てするな!子供に育ててもらっちゃえ!

理不尽な大人になりたくなかった

子供時代、親に怒鳴られた記憶は山程あります。
まだまだ、「虐待」「体罰」という言葉は全くと言っていいほどクローズアップされておらず、親や先生もある意味やりたい放題で、その存在は怖いものだと思っていた時代で、我が家の親はどちらかというと優しい方だったのかもしませんが、それでも「しちゃいけないこと」「危険なこと」以外に、「しなければならないことをしなかった」場合や、「怠けている時」もかなりの頻度で叱られ怒鳴られていました。

大人や親の言っていたこと、怒ってきた内容のすべてが正しかったのかというとそうではないと思ったり、そこまで怒られることはなかったんじゃないかとか、ヒステリックに怒鳴られると非常に不快で理不尽に感じることも沢山ありました。

そして自分が大人になって子供を育てることになったら、こんな親にはならないぞ、こんな大人には絶対にならないぞ!このヒス野郎!と何度も何度も決意していました。

そしていよいよ自分も子供からみて「大人」になり、実際に子育てをすることになってつい思ってしまうのが、「親だって人間なんだよ…」なのですから、大人になるということはなかなか難しいものです。

子供を叱ることは必要な場合もある

子供が明らかにいけないことをした場合は――例えば交通ルールを守らない、他人の物を壊してしまった、不注意により誰かにケガをさせてしまった――説明がわかりやすいし、子供も素直に納得してくれることが多いので、お互いに左程問題は感じません。
信号無視をしたら、道路に急に飛び出したら、死にますよ、命がなくなりますよと教えてることは簡単なのです。強く叱ったところで子供も反省し学習するだけで終わります。

自分の命を大切にすること、他人を傷つけてはいけないということは、繰り返し教えてあげなければならないことのひとつですし、事前にも教えてあげることも大切で、予備知識があれば危険だと予想して自身でちゃんと回避することもできる子もいます。でも中には失敗してしまう子もいます。
だから、危ない目に合ったり、合いそうになればその都度叱ってでも教えてあげなければなりませんが、こういうケースの場合、割と大人は冷静に子供に教えてあげることが出来るような気がします。
大人もわかっているのです。これはちゃんと教えてあげないといけないことだと。だから冷静に子供がちゃんとわかるように、子供の目を見てしっかりと叱ることが出来ます。

叱る程度をコントロールできない場合って

問題は親が疲れている時、もしくは急いでいる時に「余計な仕事」を増やされた時の絶望感です。
原因はほぼ「子供だから仕方のないこと」なのですが…。

例えば、出かけなきゃいけない時に子供がぐずぐずと支度しないでテレビを見ていたり、ビーズクッションを破裂させてビーズを床にまき散らしたり、不注意でコップを倒してテーブルをジュースでべとべとにしたり、着替えたばかりの服にこっそり探し出したチョコレートを塗りたくられるなど。
仕事で疲れて帰ってきて、夕飯の支度を急いでして、お待たせ!夕飯だよと振り返ると乾いた洗濯物――まだ畳んでいない――の上で発砲スチロールのケースを割って、コシコシこすり合わせて雪を降らせていることに熱中している我が子がいたこともあります。
学校に通い始めると更にこういったケースは増えていきます。何度も言っても宿題をしない。プリントを渡さない、前日にしておいてねと言っていても明日の準備が出来ない。お風呂が温くなっちゃうから早く入ってほしいのにテレビやゲームに夢中になって入ってくれない、等々。

そんな時、まず出てくる言葉は「なにやってるのーーーー!!!???」という絶叫です。
「あなたが遅刻するといけないから一生懸命頑張って支度しているのに」
「コップの場所に気を付けて用心して動くように何度もいっているのに」
「ご飯はちゃんと食べたのに勝手に間食をするなんて」
「あなたの為に夕飯をがんばって用意していたのに」

「あ な た は 何 を や っ て く れ て ん の !?」

皆さんも身に覚えがあるのではないでしょうか?
読んでいるだけでもイライラしてきませんか?

大人にも子供にだって色々あるんだということ


忙しいという感じは「心が亡びる」と書きますが、まさにその通りだと思います。
暇だったら、子供を見張っていること以外やることがなかったら…ジュースをこぼされたって、可愛い手で服にチョコレートを塗りたくたって、洗濯物の山の上に静電気いっぱいの雪を降らせたって、
「わー!ジュースもう飲めなくなっちゃったねぇ…!今度から気をつけよー?」
「チョコレート隠してたのに見つけっちゃった!?やるなぁ…!今度は見つからないところに隠すもんねー」
「これ擦ったら細かいの出てきたの発見したのかー!雪みたいだねぇ!この雪はつめたくないけどね!」
なんて言いながら時には子供がしでかした「いたずら」や「失敗」だと笑いながら、――時にはSNSにうちの子こんなことしてくれちゃって!なんて写メをとって投稿したりもして――でも実はこれ次回からはしてほしくないなぁ!片づけるの大変じゃない?なんて穏やかに話してあげられるんじゃないかと思います。

だって子供ってそういう生き物だから!
いたずら大好き!興味にあることはじゃんじゃんしちゃう、失敗もしちゃう、大人ほど分別がついてない子供だから。自分も辿ってきたわけですが、そういうことをする生き物だってわかっているはずです。
でも大人はそんなに暇じゃないんです。仕事をして家事をして、やらなきゃいけないことが山積なんです。猫の手も借りたい日々で一日24時間じゃ足りないってぼやきながら生きているんです。
だから、そういうことをされると「ただでさえ忙しいのにどうしてさらに仕事を増やすの!!」って怒鳴り散らしたくなるだろうと思います。

逆の発想

大人だって心が亡んでしまって、感情的になってしまうのはしょうがないと思います。
悟りだって開けない長い人生を考えたらまだまだひよっこなんですから。子育てをしている親なんて。
でも、子供の「失敗」や「いたずら」でキーッと頭に血が上って、なんでそんなことするのってヒステリックに怒鳴ってしまう姿は自分が子供だった時にもっとも嫌悪した大人の姿です。
時間が経つとドッと自己嫌悪が襲ってきます。言わなくていい言葉だって言ってしまった。子供が怯えてこちらを見上げている顔がフラッシュバックすることで更に落ち込んでしまいます。
ダメな親だなぁって自信を無くしてしまうと思います。

私は、だったらダメな親だっていうのを逆手にとってみるのはどうだろうと考えました。
親だっていつもいつも心に余裕がないばかりじゃないと思います。そんな時に――頭に血がのぼっていない――冷静な時に子供にお願いしてみようと思いました。
ご飯を一緒に食べている時でもいいですし、お風呂に一緒に入っている時でもいいです。
眠る前にベッドの中でもいい、なるべくお互いがリラックスしている時がいいと思います。

「今日(昨日)○○した時にお母さんすごく怒ったじゃない?あれは良くないことだから怒ったんだけど、お母さん怒り過ぎたと思うんだ」
「もしも、今度またお母さんが怒り過ぎていたら、言ってくれない?怒り過ぎだよって。お母さんも気をつけるようにするから」
「あなたが悪いことをしたらまたお母さんは怒ると思うけど、怒り過ぎたらお母さんを注意してほしいんだけど出来る?」

そう子供に言ってしまうんです。
子供はきっと「いいよ」と返事をくれるはずです。ものすごくいいアイディアだと受け入れてくれます。

子供と一緒に成長したいと思うこと

それ以来、完璧にヒステリックな怒り方をしてないかというと実はそうではありません。
「何度も言ったのに!なんでわからないのよ!おバカっ!!!」
キーってなりますが、子供は怒られ過ぎだ、お母さんが疲れていてどうやらイライラしているらしいということは非常に敏感に察知します。

そして、我が家の場合は、しばらくしてから――お母さんの頭に上った血が降りてきたら――「お母さんさっきはちょっと怒り過ぎじゃなかった?」って聞きに来るようになりました。また怒っている最中に「まって、実はこういう理由があって今できなかったの、そんなに怒らないで」など、言ってくれるようになりました。

それによって、はっとして我に返れることが多くなりました。全然なくなったわけではありません。
時には「やかましいーー!!!言い訳してんじゃねえええ!!!」ってどかーーんと怒ってしまうこともありますが、自己嫌悪はずいぶんと減りました。

成長しているのは子供だけじゃない、親だって成長させてもらっているんだって思えるようになると本当に心は軽くなりますし、ギスギスした空気だって減りました。そしていつしか暴言も少なくなって、ヒステリックに感情に任せて怒ることはなくなっていきました。

子供は親をちゃんと見ている

子供は何もわかってないと思うこともあるかと思いますが、実は子供はものすごく親をちゃんと見ています。子供を怒る時にヒステリックに怒ったり暴言をたくさん吐いていると、大人はこういうことを言ってもいいんだと思ってしまったり、子供の世界は小さいのですぐに身近にいる人間の真似をします。自分に吐かれた暴言だって忘れたりしていません。

恐らく無意識だと思いますが、我が家の娘と息子は、相手に何かを注意をしている口調がぎょっとするほど母親の私にそっくりです。
母親がヒステリックに怒る姿も彼らにはしっかりインプットされており、家の中だけでなく外でも同じことをしていると思って間違いはないでしょう。さらに大人になって子供を持つと同じように怒ることもあると思います。自分の子供たちはそんなことしないと都合よく考えるの無駄でしょう。

そして、ヒステリックな怒りを撒き散らすのを防ごうと、コントロールしようとしていた親の姿も見ているはずです。

人生は色々あります。思い通りにならないことがたくさんあります。そこでどうやったら克服できるかというヒントの一つに親の姿を思い浮かべるはずです。
つい子供にヒステリックに当たってしまうと悩むことは良いことです。なんとか克服したいと思うことはとても素晴らしいことです。それを子供にも伝えてしまいましょう。

ダメ親だと自分を責めて一人で悩むより、子供と一緒に成長していけばいいんだと思います。子育ては躍起になって子供を育てなきゃ!立派にしなきゃ!って張りつめてしなくていいのだと思います。子供と一緒に大人も成長していくんだったら、大人だって子供に注意してもらったらいいのだと思います。

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一姫二太郎の2人の子供を育てているシングルマザーです。 育児と趣味も満喫したい能天気ライフを送っています。 失敗したり、たまにメソメソしてしまうこともあるけど、人生万事塞翁が馬のを座右の銘として元気に人生奮闘中です。