子育てエピソード「息子の優しさから学んだこと」

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優しい人間に育って欲しい

人の気持ちを考える、優しい人に育って欲しい。
子育てをする人なら皆そう思うのではないでしょうか。
私も息子が小さい時から常にそう思い、公園や児童館でお友達と遊んでいる時や、絵本の読み聞かせを通して優しさを育むことが出来たら‥と願っていました。
それなのに、毎日目にするのはおもちゃの貸し借りがうまく出来なかったり、お菓子を独り占めしようとしたりする姿ばかり。
今振り返ってみると、「成長過程だったのだから、そんな小さい時から出来なくて当たり前。」と笑いながら言えますが、当時の私は毎日ため息ばかりついていました。

心配ばかりしていた日々

幼稚園に入ってからも、ひたすら我が道を行く息子。
口の方もどんどん達者になっていき、余りにもストレートな言葉に背筋が凍る思いもしました。
「この子は、人の気持ちを考えられる人間に育ってくれるのだろうか?」
悩む日々が続きました。
毎日の自転車での送り迎えとお弁当作り、そして園の父母活動で入園以来疲れが溜まっていた私は、秋にとうとう高熱を出してダウンしてしまいました。
私が寝込んでいる間は夫や義母が送り迎えをしてくれたので、息子は変わらぬ園生活を送ることが出来ました。

突然、見せてくれた優しさ

そんなある日、息子が園にお迎えに来てくれた義母に「帰りにゼリーを買って欲しい。」とねだったそうです。
自分で何種類かのゼリーを選んで買ってもらった息子は、帰宅するなり私の枕元に来て鼻息荒くこう言いました。
「おかあさん、ゼリーなら食べられるよね?食べさせてあげるよ。」
手も洗わず、スプーンも用意せずにいきなり蓋を開けようとしています。
義母が慌てて洗面所へ息子を連れて行き、ゆっくり何かを話しています。
手を洗って、お盆とスプーンを用意して戻って来た息子は、どのゼリーがいいか私に聞いてから蓋を開け、ゆっくりと一口一口食べさせてくれました。
私の口に一生懸命ゼリーを運ぶ息子の姿が涙でぼやけてきました。

新たな気付き

ゼリーを食べ終えてから「ありがとう。」とお礼を言ったら、「オレが熱を出した時はいつもおかあさんがゼリーを食べさせてくれるでしょ?だから同じようにしたの!」
と、クールに言われてしまいました。
その後も、何も言わずに布団を直してくれたり、飲み物を持ってきてくれたり、甲斐甲斐しくお世話をしてくれました。
それは、息子が熱を出した時に私がしていたことばかりでした。
「もしかしたら、この子は言葉ではなくてすぐに行動する子なのかもしれない。」と、ハッと気付きました。

言葉ではなく、体が動いていた

体が回復してから公園や園庭で遊ぶ息子をよく見ていたら、新しい発見がありました。
ブランコから落ちたお子さんがいたら、まずは先生や大人を呼びに走る。
砂場では、何かを探しているらしきお子さんに黙ってシャベルを渡す。
自分が遊んでいる手押し車をじっと見ているお子さんがいると、黙って手押し車から離れてどこかへ走って行ってしまう。
言葉はなくとも、その子が必要としていることに対してすぐに体を動かしている息子の姿がありました。
やり方は乱暴かもしれませんが、そこには優しさがありました。

優しさの表現は、人それぞれ

優しい言葉は、誰にとっても一番わかりやすい「優しさ」です。
言葉以外のもので表される優しさは、なかなか気が付いてもらえず、時には誤解されることもあるでしょう。
息子がまだ小さかった頃、出来ないことばかりに目が行っていて、その時に息子が持っていた優しさに気付いていなかったのかもしれないと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいです。
小さな子どもだろうが大人だろうが、優しさにも人それぞれ多様な表現の仕方がある、と息子が教えてくれました。
息子がゼリーを食べさせてくれたことを思い出す度に自然に笑みが浮かびますが、同時に心の中で襟を正しています。

ABOUTこの記事をかいた人

現在小学生男児を子育て中です。息子の言動に日々振り回されて頭を抱える毎日ですが、自分を取り戻すために試行錯誤しております。