大きな環境の変化「入学」
急に求められる成長に親も子も躊躇
幼稚園や保育所の入園に続き、産まれてから二つ目の大きな環境の変化。それが「小学校への入学」ですよね。
幼稚園や保育所に入園するまでは一日中ママと過ごすお子さんがほとんどだと思いますが、入園後は一日の半分、またはそれ以上の時間を先生やお友達と過ごす事になります。
ですが、幼稚園や保育所に通っているうちは先生がべったり子供達について一日を過ごしてくれていますし、困っている顔をしているとすぐに手を差し伸べてくれます。そしてその頃は、子供もまだ物事をそんなに深く考えずに思った事・感じた事をありのまま口にし、何かあればすぐに先生を頼りますので、一時的に落ち込んだりする事があったとしてもすぐにケロッとして次の瞬間には笑っていたりします。
ところが小学校に入学するとそれまでの様に先生がつきっきりで見ていてくれるわけではありませんので、突然「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」にならざるを得なくなってしまい躊躇してしまうお子さんも少なくはないと思います。
私はどちらかと言うと放任主義で、ちょっとやそっとの事では先生に何かを言ったりしませんし、子供の事を事細かく観察しているタイプの人間ではありません。
ですが、入学後は娘だけではなく、いや、娘以上に環境の変化を敏感に感じて戸惑ってしまったように思います。
心弾ませて小学校へ
うちの娘は保育所に通っていたのですが、入学するまでは誰にでもある様なお友達同士のちょっとしたイザコザは多少あったものの、問題になる程大きな事でもありませんでしたし、例え何かあって「保育所に行きたくない」と言ったとしても翌日には「昨日の事はなんだったの?」と思いたくなる程ケロッとして登所していましたので、親としてもそう気にする事もなく登所させる事が出来ていました。
そしてその時はまだ、小学校入学に際しても私は「まだ一年生だし保育所の延長みたいな物だ」と気楽な気持ちでいましたし、娘自身は仲良しのお友達と離れ離れになってしまう寂しさよりも新しいお友達が出来る事、新しい環境に代わる事に胸をはずませていました。
いざ入学してみると
入学後も娘は毎日胸を弾ませ「お勉強も楽しいし、学校凄く楽しいよ」と言っていましたが、日々の学校生活の話を娘から聞いていた私は、少しずつ「今までとは違う周りの環境」と「娘とお友達の気持ちの変化」に悩むようになっていました。
親の私から見ても温厚でお人好しの娘がすぐに仲良くなったのは、とても活発で物事に驚くほど動じない子でした。最初は娘にはない所を沢山持っていて良い影響を与えてくれる子だと思っていましたし、何より娘自身がその子の事が好きで仲良しだと言うので、仲良しのお友達が出来て良かったと微笑ましく思っていました。
ところが入学して一か月もすると、娘が色々な事を言う様になってきました。
「Aちゃんは、他にお友達がいる時は私を仲間外れにする。でも一人ぼっちになると私が他の子と遊んでいても私の所に来るから入れてあげるの。」
「Aちゃんが学校の帰りによそのお家のイチゴを取ろうとするから『ダメだよ』と言っても無視するの。もう一回『ダメだよ』と言うと「うるさいなぁ」言って無視して先に走って帰ってしまったの。何でなんだろう?」「今日お友達の名札がビリビリに破って捨てられた。」「○○ちゃんの筆箱がなくなった。」「作品の名前の所にピンを刺されて嫌だった」等信じられない事を言うのです。
その他にも、クラスの子が「お前の事を好きなやつは3人しかいない」と言ってみたり、髪の毛のゴムを放り投げられて「やめて」と言っても笑ってやめてくれなかったり。
それを聞いた私は「子供のやる事だし、悪気はないのだろうな。それに、もしかしたらうちの子が気づいていないだけで、知らず知らずの内に娘が他の子に何か嫌な思いをさせてしまって、それが原因で色々な事をされてしまったのかもしれない。一方的に自分の子供の話だけを鵜呑みにしてしまうのは良くない事だ。」と思い少し様子を見ようと思っていました。そしてそれと同時に娘にも「○○がもしかしたらAちゃんに嫌な事しちゃったんじゃないの?」と聞いてもみましたが「してない!」の一点張り。
そして曲がったことが嫌いな娘がAちゃんに対して「それダメだよ」と注意ばかりしている姿が目に浮かんだので「Aちゃんはもしかしたら悪い事だと分かっているのかもしれないよ。だからあなたにダメダメ言われるときっと面倒臭くなっちゃうのだと思うよ。悪い事は悪いと教えてあげられる事は素敵な事だけど、あまりしつこく言わない方が良いと思うよ。何度も言えば言う程あなたの事が鬱陶しく感じるのかもしれないよ。」と、少し矛盾した話だと感じながらも、娘に自分を守る手段を教え、少し距離を置ける様に誘導してみました。でもその時はそれ以上どうする事も出来ずにいました。
子供のストレスが蕁麻疹に。その時私は…
そうこうしている内に、娘の体に異変が起こり始めました。蕁麻疹です。
最初は疲れや体調不良から来ていると思っていたのですが、一週間たっても二週間たってもなかなか治る気配はなく、さすがの私も「おかしいなぁ」と思い始めました。
ですが学校での生活は娘から話を聞く事は出来ても実際には目に見えませんし、事実は本人しか分からないので、初めて学校の先生に相談し、かかりつけ医に相談もしました。
原因はやはり本人が気づいていない所でのストレスの様でした。
学校の先生は私が言うまでもなくある程度状況は分かっていた様でしたが、こうなってしまったのには娘にも何か原因があるのではないかと聞いてみると「娘さんには何の問題もないのです。娘さんは優しいからその子たちは娘さんになら何をしても許されると思っているところがあるみたいなのです。だから他の先生とも連携を取って様子を見ているところです。」と言うので、学校に口を挟んでうるさい親にはなりたくないと思っていた私ですが「先生、うちはお兄ちゃんもいますが一年生のうちからこんな事は今までなかったです。正直言って一年生にしては陰湿で、高学年になってからの事を考えると凄く怖いです。特に女の子は男の子と違ってグループを作りますよね。心は深く傷つくとなかなか取り戻す事は出来ません。先生に言いたくても以前先生に言った時にお友達に「チクリだ」と言われてしまった様で、それが嫌で先生には言えなくなってしまっている様ですし、一体どうしたら良いのでしょうか。うちはもしも子供が学校に行きたくないと言い出したら無理やり授業を受けさせようとは思っていません。心が壊れてしまっては取り返しがつきませんから。」と言う言葉が自然と私の口から出て来ていました。この時「自分がどう思われようと、自分の子供は自分しか守れない。」と強く感じている自分がいました。
まだ1年生なのに嫌がらせされても先生には言えない!?
そんな私の心配をよそに、娘は嫌がる事なく学校に通ってはいました。
しかしある時から帰宅後、学校で誰と遊んでどのように過ごしたのか聞くと「図書室に行っていた」「一人で帰って来た」と言う事が増えて来たのです。
聞くと「Aちゃん達と私は遊びたいけど、Aちゃん達は私の事が嫌いだと言うBちゃんといつも遊んでいるから嫌なの。」との事。「でも、入れてって言ってみたら?もしかしたら仲良く遊べるかもしれないよ?」と言うと「それは嫌だ。だってBちゃんはすぐに『アホ』とか『バカ』とか言うし『ぶっ殺したろうか』って言ったり、嫌な事をされて『やめて』と言うと机の上に乗られたり、唾を吐かれたりするから遊びたくない」との事でした。
その言葉に驚いた私はさすがに「それ先生に言ったの?」と聞くと「言ってない」と言うので、そこまでやられてなぜ言わないのか聞くと、言おうとすると「マズイ」と思ったその子は先回りして先生の所に行きうちの子がしてもいない事を「○○があんなことした」と嘘をついたりするし、また「チクリだ」と言われたりするのが嫌だから先生には言えないとの事でした。
娘の話を聞いた私はちょっとした怖さを感じ、とにかく言われても言い返せない娘の気持ちの弱さも原因だと思い「何で言われたら言い返さないの?やったらやり返せと言うのはお母さんも好きではないけれど、それは時と場合にもよるんだよ。そういう子は強い子には何も言わないでしょう?あなたはやられても大人しくしているから何をやっても大丈夫だと思われているのかもしれないよ。わざとみんなに聞こえるような声で『やめて!どうしてそんな事をするの?』とか「アホって言う方がアホだ!」くらい言っても良いよ!」と言うと「私は学校ではそんな言い方はしたくない」と言うのです。生まれ持ってのバカまじめな性格がこんなところで出てしまっているのです。
少しイライラしてしまいついつい娘を追い詰めてしまう様な事を言ってしまったと思った私は「でも大丈夫だよ。みんな見ているうちに誰が悪いか分かる様になるから。お母さんも先生もちゃんと分かっているし、お友達も最初は分からなくてもだんだん分かってくれるから。意地悪な事ばかりしている子はきっとその内お友達がいなくなっちゃうよ。だから大丈夫。みんな分かってくれるから。」と娘に言い聞かせました。
親として何が出来るのか
初めてよそ様の子供を怒る
正直言って私は日々の出来事に腹もたっていましたが、娘の話を聞いただけで実際に現場を見ていなかったので、安易にその子に注意する事も親御さんに言う事も出来ず「どうしたら良いのか。でもこのまま放置すると高学年で悪化するのではないか」と悩み毎晩主人にも相談しました。主人は「それ、親はどんな教育をしているんだ?」と言いはするもの解決策が出て来るわけでもなく、結局私が何とかするしかありませんでした。
そんな時、何度か学校に出向いたり子供たちが遊ぶ場所に出向く機会が出て来て、娘のお友達が娘を仲間外れにしたりよそ様のお宅の物を盗ろうとしたりする姿を目撃する様になったのです。
今までよそ様の子に怒ったりした事はなかった私ですが、見て見ぬふりをする事はこの子にとっても良くないと思い、最初は注意、そして何度言っても分からない時は怒ったりもしました。そしてその怒った事をその子の親御さんにも「こんな事があったので怒らせて頂きました」と伝える様にしました。
私にとってよそ様の子を怒ると言う事はとても勇気のいる行動ではありましたが、娘の為にもその子の為にも見て見ぬふりは出来ないと思っての事でした。
親御さんはその時実際にどう感じていらっしゃるのか分かりませんが「どんどん怒ってやって下さい。」との事でしたので少しホッとした自分もいました。
そして勿論その事を先生にも伝えました。
改善に向けて一歩ずつ
何度か先生にも相談して行くと、「ちくり」だと言われ先生には何も言えない娘に対して先生は、「口頭で言いにくかったらお手紙に書いて渡してくれると言うのはどうでしょう?私も手を焼いていまして、お母さんが言う様に高学年になった時が心配で。」との事でした。
先生が手紙と言う案をくれた事を娘に伝えると、ただそれだけで娘はちょっと安心した様子でした。
一時に比べると最近少し状況は良くなって来た様に思いますが、娘の蕁麻疹はまだ出続けています。
保育所から小学校に入学してわずか数か月の間に環境がここまで変わるとは私も思っていませんでしたし、娘も想像していなかったと思います。
全てが親にとっても子供にとっても大切な経験
私には10歳の息子もいますが、男の子と女の子の違いもとても感じています。
男の子にとって「つまらない出来事」が女の子にとっては悩んでしまう程「辛い事」な時もある様です。男の子は「単純」ですが女の子は「複雑」と感じる事も多いです。
もしかしたら息子が娘と同じ状況になったとしても上手くすり抜けていたのかもしれないと思う時もありますが、サバサバした男の子と女の子では感じ方も違うのだとも思います。そして保育所の時は当たり前の様に先生に頼っていた娘が、周りの目を気にして先生に言えなくなってしまった事、これもこの年齢の成長過程であり大切な経験なのだとも思っています。
ただ、娘に限らず、何か問題があった時に親でも先生でも友達でも、誰か一人で良いので相談出来る相手がいるととても楽になれると思いますし、親が子供のちょっとした異変を見逃さない事も大切だと思います。
小学校に入学すると同時に突然色々な事を自分で考えたり解決したり、そして急に成長しなければならない事も多く、戸惑うお子さんも多いと思いますし、親の育児に対する考えもそれまでとは変わると思います。
7歳でしか感じられない「今」を大切に
色々な経験を元に子供も親も一緒に成長して行くのだと思いますが、決して大変な事ばかりではありません。
一年生はまだまだとっても素直で可愛く、女の子はオシャレにも興味を示す様になります。
「今日はどの洋服を着て行こう」と言う話で盛り上がったり、髪の毛を結ってあげる時に「今日はこんな髪型にして」と言って来たり、寝る前になると「ママ、ギューってして」と抱き着いて来たり。
男の子は女の子以上に幼さを感じる事も多く、女の子にはないふざけ方をしたり、人前でも平気で甘えて来たり。
こんな事が出来るのももうあと何年かだと思います。
大変な事があるからこそ「7歳の子供」にしか出来ない事、その時その時を大切に、そして時には真剣に、時には明るく楽しく、周りの力を借りながら自分も一緒に成長して行けたらそれは最高の時を過ごしているのだと思います。
育児で「悩む事」は当たり前。その姿を見て子供は育つ。
私の様によその子供がいけない事をしていると分かっていても注意が出来ずに目をそらしてしまう方も多いのではないかと思います。
ですが「自分の子供を守れるのは私しかいない」と思うと、自分が誰にどう思われようとそんな事はどうでも良く、自分の子供事だけを第一に考え、今まで出来なかった行動をする事が出来る様になるものです。
きっと親のその姿、その気持ちが子供にも通じ、子供も少しずつ強く優しくなって行けるのだと思います。
いつの時も育児には悩みがつきものです。悩みが全くない育児はありません。
だから一人で悩んだり肩に力を入れ過ぎる必要は全くないのです。
今与えられた状況を自分でどのように解釈し、親にとっても子供にとってもプラスになる様に考え、辛い事があっても子供の前では出来るだけ笑顔で過ごす。でも、悲しい時は一緒になって泣いてありのままの姿を見せるのも良いと思います。
それが子供にも安心感を与え、いつか必ず良い結果を導いてくれると信じて私は日々育児に励んでいます。