10歳男児を子育て。しっかり接すれば理解出来る年齢

「女の子が欲しい」から始まった初めての育児

はじめに

10歳男児育児中のチョコリンと申します。
私自身二人姉妹で男兄弟がいませんので、出産前は「絶対に女の子が二人欲しい。」と思っていました。そして長男妊娠中に性別が判明した時、息子には言えませんが、正直言うと「男の子かぁ。」とちょっとショックを受けたのを覚えています。
それ位私の中で男の子の事は全く無知でまるで宇宙人の様な存在で、沢山の方の協力を得ながら10年間試行錯誤して子育てをして来ました。
そんな私ですが現在では「男の子は可愛い」と心底思える様になり、毎日楽しく育児が出来ています。

10歳と言えば、大人に向けての第一歩を踏み出す難しい年齢に突入する年齢でもあり、また、まだまだ幼さが残る年齢でもあります。
そんな成長段階に子供自身が自分ではどうしようもない「気持ちの変化」「体の変化」を気づかないところで感じ、それが悪態となって親を困らせたりする事もよくある事だと思います。そしてその事で悩んでいる親御さんも沢山いらっしゃると思いますので、私の経験が少しでもその解決の糸口になればと思います。

悪気の無い『いたずら』が「イジメ」に!?

先に述べました様に、私の家族と言えば父親意外「女」ばかりでしたし、自分が「女」の為女の子の成長については分かりますが、「男の子はどんな習性がるのか」「心身共にどの様に成長をするのか」等全く分からず、「どう向き合ったら良いのか」「どう関わったら良いのか」戸惑いながら初めての育児が始まり、10歳になった今までインターネットで調べる事も多く、主人や母、友人、学校の先生に相談しながら日々子育てをしています。

4年生になると幼い頃の悩みとは違って子供の「人間関係」について悩みだす親御さんも多いと思います。
低学年の頃は子供もとにかく無邪気で思う様に行動・発言しがちで、物事を深く掘り下げて行動する事はそう多くはないと思います。そして何か悪さをしても「ただのいたずら」として解決される事がほとんどだと思います。
しかし、高学年にもなると周りの目を気にし始め、自分と他人の考えの違いに戸惑い、自分を抑えて他人にあわせなければない事も増えてきます。そして、自分の発言が一歩間違えると「いたずら」から「いじめ」に変わってしまう可能性が出て来る学年でもあるのです。

10歳に限らず、最近ではイジメの問題をよく耳にするようになりました。
それは誰しもが決して他人事ではなく身近に起こりうる出来事で、親なら誰でも自分の子供が「加害者」にも「被害者」にもなって欲しくないと思っていると思います。
そう考えると、親が子供の気持ちの変化にいち早く気づいてあげる事が大切だと思います。

体験談1 息子に現れた心の叫び「チック」

大人しいから問題がないわけではない

私の場合、長男が産まれた時から「男の子だからそのうちお友達の親御さんのところに謝りに行かないといけなくなる事も出て来るのだろうな」とある程度の覚悟はしていましたが、息子はとにかく平和主義者で揉め事には絶対に関わらず、揉めそうになったら自分から身を引いていたので、今までこれと言った問題は全くなく穏便に学校生活を過ごして来ました。
ですが、対外的には問題がなかったのですが、入学した頃からチックの様々な症状が次から次へと出始めて、親としては何がいけないのか悩み続け、原因となっていそうな物を取り除いてやる努力もしましたし、学校や公的機関にも相談もしてきました。
平和主義者である様に見えた息子ですが、他人と揉めない=自分を抑えて我慢する。そして周りの目を極端に気にすると言う生まれ持っての性格が知らず知らずの内に自分を苦しめていたのです。
幼稚園に通っている時、先生に「幼い時は自分の気持ちを抑えるのではなく、外に発信出来た方が良いのですよ。大人しいのは悪い事ではないですが、自分の気持ちを外に上手く出せないと本人が苦しくなりますし、成長してから内にこもる様になってしまうと自分の気持ちの整理がだんだんつかなくなってしまう事もあるのですよ。だからもう少し子供らしく自分の気持ちを上手に伝えられると良いのですが。それが例えワガママに聞こえても今はそれで良いのですよ。」と言われた事が頭の中を駆け巡り、「そういう事だったのか」とその時初めて幼稚園の先生の言葉の意味を理解出来た様な気がしました。

やっと気づいた息子の心

「他人に迷惑をかけるような大きな問題はない」と思い、安心して過ごして来た私はそれまで「お稽古が嫌だから?」「私が働いているから?」と思っていたので、「お稽古をやめさせよう」「子供が帰宅する時には家にいてあげよう」位にしか考えておらず、息子の真意に気がつくまでかなりの時間を要しました。私が「息子が自分の気持ちを抑えて過ごしている事がストレスになり、それがチックの症状になって出ている」と気が付いたのは、息子が悪い事をしてそれに対して私が怒っている時や息子が自分自身で「しまった!」と感じている時等、息子が神経を遣っていると感じた時「チックの症状が酷くなっている」と感じた時でした。

私はそれまで自分では気づいていませんでしたが、自分の子供が悪く思われない様に人様の目は気にしていましたが、一番大切な自分の子供の心の奥底の部分に気づいていなかったのだと思います。
それに気づいてからの私は、「周りの目」よりも「息子の心の目」をしっかり見て、しっかりと話を聞いてあげ、ちょっとした異変にも気づいてあげる努力をしています。もっと早く気づいてあげられたら良かったとも思っています。

親と言うはものどうしてもママ友の目を気にしたり、お友達と比べたりしがちになると思いますが、自分にとって本当に大切なのはママ友でもなければお友達でもなく「自分の子供」なのです。
それに気づいてからの私は、それまでの様に他人の目が気になったり他人と比較したりする事も少なくなりましたし、何より息子の気持ちを察してやる事が出来る様になり、それにより息子との信頼関係もより深くなり、息子の気持ちに寄り添う事で息子の心の負担が減り、チックの症状も軽減したのだと思います。

体験談2 陰口が人を傷つけると分からせるまで

まさか自分の息子が「陰口」!?

内々的な問題は良い方向に進み一安心していた矢先、次は外向きの悩みが勃発したのです。
4年生の二学期になった頃から家に帰って来て息子は「誰々最悪や」「本当に嫌いだわ」「うっとおしい」と言う事を言う様になって来ました。
今までそんな事を言う事はなかったので最初耳を疑い、それと同時に驚いて「そうなの?」と言う位しか言えない自分がいました。
ところが、それを放置したままにしていると同じ様な事を家で何度も言う様になりましたので、息子になんでそんな事を言うのか・何があったのか聞いてみました。
すると「○○は自慢ばっかりする」「トイレに行っても手をちゃんと洗わない」「いちいち何か言ってくるからうるさい」と言った理由でした。そこで息子に「その子に自分が思った事や感じた事、例えば『ちゃんとトイレに言ったら手を洗った方が良いよ』と言ってみたの?」聞いてみると「言ってない。だってみんなもそう言っているし、言ったって言う事聞かないもん。」と言うのです。大人からするとつまらない事ですが、この年齢はそのつまらない事が気になる年頃の様で、それが悪口になって人を傷つける事もあると言う事も考えずに発言している様でした。

「陰口が人を傷つける」と気づかせるまで

長男やお友達は何気なく言っている言葉なのだと思いますが、こう言うちょっとした事が当たり前になってしまうとそれがエスカレートし、イジメに繋がって行く可能性もあると感じた私は「このままではいけない。」と思い、息子とじっくり話をしました。

まず初めに気になった事は「息子がお友達とその子の事を『あいつ最悪だな』などと陰で言ったりしていないか」と言う事でした。結果、少し言ったとの事でした。親としては、そんな時期もあるとは分かっていながら、今までそんな事を言わなかった息子が悪口を言っているのかと思うととてもショックでした。
ですが息子は「みんなも言っているし」と言う位で、そんなに悪い事だと言う認識は全くなく言っていたのです。
そこで息子には「もし自分が自分の知らないところでそんな事を言われていたらどう思う?傷つかない?」と聞くと「嫌だけど、みんなそう言っているもん。」との事。そこで「自分たちは悪気がないかもしれないけど、それをもしその子が聞いたら凄く悲しいと思うよ。その子に直接教えてあげるなら良いけど、それを言わないでみんなでコソコソ言うのはイジメになっちゃうよ。そしてもし一緒に言っていたお友達とあなたが喧嘩して、そのお友達が『○○がこんな事言っていたよ」とあなたの名前をその子に伝えたら、全部あなたのせいになっちゃうかもしれないよ。そしてその子が、もしもそれが原因で学校に来なくなったらどうするの?責任とれる?自分だって苦しむ事になるし、相手の子はもっと苦しむ事になるのだよ。』と話をしてみると顔色が変わりました。
初めて自分の発言が陰口であり、相手を傷つける発言だと言う事に気づいたようでした。

親として今思う事

私自身、息子が低学年の時は「喧嘩もこの年齢には勉強の一つだし、ただお友達にケガをさせたりしない様に」と言う位にしか思っていませんでしたが、高学年になってくるとその考えだけでは通用しないと感じましたし、子供にも人の気持ちを分かって上げられる様に導かないといけないと思い、子供への接し方を今までとは変えてみました。

それまでとは違い10歳と言う年齢は、自分がされたら嫌だと言う事はすぐに感じる一方、自分がした行動・発言が他人を傷つけると言う事にまだまだ気づかない事もある年齢でもあります。
ただそれを親が中心となり、周りがどの様に導いてやるかによってその後が変わるのだと思います。10歳位なら修正はまだ効きますし、大人が真剣に向き合えば素直に答える年齢です。ですが、子供の良からぬ行動を見て見ぬふりしてしまうとそれが知らず知らずの内に大きな問題に変化し、さらに子供がそれを悪い事だと認識しないまま成長してしまい、人を傷づけても何とも思わない、人の気持ちの分からない子供になってしまうのではないかと思います。

生意気だけどまだまだ幼い年齢

10歳頃になると、他人の前に出ると「何でも自分でするから放っておいて」「家族なんて」と言う気取った態度をとったり生意気で偉そうな事を言ったりしますが、一歩家に入ると驚くほど甘えん坊だったりします
うちの息子はお友達がいる時に私が声をかけると目を合わせて手を挙げる事位はするものの、「あ、お母さん!」などと言って近寄ってくる事はまずありません。話しかけてもちょっと恥ずかしそうな顔をしてその場から立ち去ろうとすらします。
ですが、一歩家に入ると別人の様に甘えん坊になる時があり、自らちょっかいを出して来ては「僕をかまって」と言わんばかりにすり寄って来たりする事もあります。この様子はお友達には絶対に知られたくない姿だと思いますが、親としてはとっても可愛く、「まだまだ子供だなぁ」と思うとても幸せな瞬間でもあります。そしてこれも大切なコミュニケーションだと思っています。

10年育児して今思う事

子供の年齢が上がれば上がるほど難しくなって来る子が多いと思いますので、イライラしたり悩んだりする事も沢山あると思います。
ですが、自分なりの方法で子供に寄り添い真剣に子供と向き合えば、子供は肌で感じ、考え
て確実に成長してくれます。
そして、親であっても一人の人間です。一人で悩まずに誰でも良いので一人でも自分の気持ちを吐き出せる人がいるととても楽になり、楽しい育児になって行くと思います。

誰もが一人目の子育ては初めてで未知の世界なので、少なからず不安や悩みがあると思いますが、「男の子かぁ」とちょっと残念に思ってどう子育てして良いか分からなかった私でも、10年経った今とても楽しく子育てしていますし、「あの時なぜ女の子に拘ってショックを受けたのだろう。息子に申し訳ない。」と思う程、まだまだ幼い行動をする息子はとても愛おしいです。
誰一人として同じ子育てはありません。
家庭によって子育ての方法はそれぞれですので「勉強」を重視されているご家庭もあると思いますし、それも将来子供が困らない様に真剣に考えての立派な子育てだと思います。
ですが、私自身の子育て論は「勉強の遅れは取り返しがつくけど、心の闇は一度出来てしまうとなかなか消えない。10歳はその心を養う大切な一年で、勉強より重視しなければならないとても大切な年齢だ。」と言う事で、自分が言った悪気ない言葉が他人を傷つける事があると言う事をしっかり説明すればちゃんと理解出来るようになるのもこの年齢ではないかと感じていますので、「人の気持ちを分かってあげられる子に育てる」と言う事を今とても重視しています。
勿論、安易な事ではありませんし綺麗ごとだけでは済まない事も分かっています。
ですが、例え今が大変でも自分が将来「良かった」と思えたら、それは素敵な子育てが出来たと言う事ではないでしょうか。
そう思える様に私自身一日一日を大切にそして楽しく子供と過ごして行きたいと思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

1975年生まれ(41歳)の「10歳の男の子」と「7歳の女の子」のママです。 「死産」「流産」と辛い経験を乗り越え、日々悩み、笑い、周りの協力を得ながら楽しく育児しています。 ワーキングママを経験し、現在は専業主婦をしながら子供と一緒に成長中です。