10歳男児を子育て。しっかり接すれば理解出来る年齢

体験談2 陰口が人を傷つけると分からせるまで

まさか自分の息子が「陰口」!?

内々的な問題は良い方向に進み一安心していた矢先、次は外向きの悩みが勃発したのです。
4年生の二学期になった頃から家に帰って来て息子は「誰々最悪や」「本当に嫌いだわ」「うっとおしい」と言う事を言う様になって来ました。
今までそんな事を言う事はなかったので最初耳を疑い、それと同時に驚いて「そうなの?」と言う位しか言えない自分がいました。
ところが、それを放置したままにしていると同じ様な事を家で何度も言う様になりましたので、息子になんでそんな事を言うのか・何があったのか聞いてみました。
すると「○○は自慢ばっかりする」「トイレに行っても手をちゃんと洗わない」「いちいち何か言ってくるからうるさい」と言った理由でした。そこで息子に「その子に自分が思った事や感じた事、例えば『ちゃんとトイレに言ったら手を洗った方が良いよ』と言ってみたの?」聞いてみると「言ってない。だってみんなもそう言っているし、言ったって言う事聞かないもん。」と言うのです。大人からするとつまらない事ですが、この年齢はそのつまらない事が気になる年頃の様で、それが悪口になって人を傷つける事もあると言う事も考えずに発言している様でした。

「陰口が人を傷つける」と気づかせるまで

長男やお友達は何気なく言っている言葉なのだと思いますが、こう言うちょっとした事が当たり前になってしまうとそれがエスカレートし、イジメに繋がって行く可能性もあると感じた私は「このままではいけない。」と思い、息子とじっくり話をしました。

まず初めに気になった事は「息子がお友達とその子の事を『あいつ最悪だな』などと陰で言ったりしていないか」と言う事でした。結果、少し言ったとの事でした。親としては、そんな時期もあるとは分かっていながら、今までそんな事を言わなかった息子が悪口を言っているのかと思うととてもショックでした。
ですが息子は「みんなも言っているし」と言う位で、そんなに悪い事だと言う認識は全くなく言っていたのです。
そこで息子には「もし自分が自分の知らないところでそんな事を言われていたらどう思う?傷つかない?」と聞くと「嫌だけど、みんなそう言っているもん。」との事。そこで「自分たちは悪気がないかもしれないけど、それをもしその子が聞いたら凄く悲しいと思うよ。その子に直接教えてあげるなら良いけど、それを言わないでみんなでコソコソ言うのはイジメになっちゃうよ。そしてもし一緒に言っていたお友達とあなたが喧嘩して、そのお友達が『○○がこんな事言っていたよ」とあなたの名前をその子に伝えたら、全部あなたのせいになっちゃうかもしれないよ。そしてその子が、もしもそれが原因で学校に来なくなったらどうするの?責任とれる?自分だって苦しむ事になるし、相手の子はもっと苦しむ事になるのだよ。』と話をしてみると顔色が変わりました。
初めて自分の発言が陰口であり、相手を傷つける発言だと言う事に気づいたようでした。

親として今思う事

私自身、息子が低学年の時は「喧嘩もこの年齢には勉強の一つだし、ただお友達にケガをさせたりしない様に」と言う位にしか思っていませんでしたが、高学年になってくるとその考えだけでは通用しないと感じましたし、子供にも人の気持ちを分かって上げられる様に導かないといけないと思い、子供への接し方を今までとは変えてみました。

それまでとは違い10歳と言う年齢は、自分がされたら嫌だと言う事はすぐに感じる一方、自分がした行動・発言が他人を傷つけると言う事にまだまだ気づかない事もある年齢でもあります。
ただそれを親が中心となり、周りがどの様に導いてやるかによってその後が変わるのだと思います。10歳位なら修正はまだ効きますし、大人が真剣に向き合えば素直に答える年齢です。ですが、子供の良からぬ行動を見て見ぬふりしてしまうとそれが知らず知らずの内に大きな問題に変化し、さらに子供がそれを悪い事だと認識しないまま成長してしまい、人を傷づけても何とも思わない、人の気持ちの分からない子供になってしまうのではないかと思います。

生意気だけどまだまだ幼い年齢

10歳頃になると、他人の前に出ると「何でも自分でするから放っておいて」「家族なんて」と言う気取った態度をとったり生意気で偉そうな事を言ったりしますが、一歩家に入ると驚くほど甘えん坊だったりします
うちの息子はお友達がいる時に私が声をかけると目を合わせて手を挙げる事位はするものの、「あ、お母さん!」などと言って近寄ってくる事はまずありません。話しかけてもちょっと恥ずかしそうな顔をしてその場から立ち去ろうとすらします。
ですが、一歩家に入ると別人の様に甘えん坊になる時があり、自らちょっかいを出して来ては「僕をかまって」と言わんばかりにすり寄って来たりする事もあります。この様子はお友達には絶対に知られたくない姿だと思いますが、親としてはとっても可愛く、「まだまだ子供だなぁ」と思うとても幸せな瞬間でもあります。そしてこれも大切なコミュニケーションだと思っています。

10年育児して今思う事

子供の年齢が上がれば上がるほど難しくなって来る子が多いと思いますので、イライラしたり悩んだりする事も沢山あると思います。
ですが、自分なりの方法で子供に寄り添い真剣に子供と向き合えば、子供は肌で感じ、考え
て確実に成長してくれます。
そして、親であっても一人の人間です。一人で悩まずに誰でも良いので一人でも自分の気持ちを吐き出せる人がいるととても楽になり、楽しい育児になって行くと思います。

誰もが一人目の子育ては初めてで未知の世界なので、少なからず不安や悩みがあると思いますが、「男の子かぁ」とちょっと残念に思ってどう子育てして良いか分からなかった私でも、10年経った今とても楽しく子育てしていますし、「あの時なぜ女の子に拘ってショックを受けたのだろう。息子に申し訳ない。」と思う程、まだまだ幼い行動をする息子はとても愛おしいです。
誰一人として同じ子育てはありません。
家庭によって子育ての方法はそれぞれですので「勉強」を重視されているご家庭もあると思いますし、それも将来子供が困らない様に真剣に考えての立派な子育てだと思います。
ですが、私自身の子育て論は「勉強の遅れは取り返しがつくけど、心の闇は一度出来てしまうとなかなか消えない。10歳はその心を養う大切な一年で、勉強より重視しなければならないとても大切な年齢だ。」と言う事で、自分が言った悪気ない言葉が他人を傷つける事があると言う事をしっかり説明すればちゃんと理解出来るようになるのもこの年齢ではないかと感じていますので、「人の気持ちを分かってあげられる子に育てる」と言う事を今とても重視しています。
勿論、安易な事ではありませんし綺麗ごとだけでは済まない事も分かっています。
ですが、例え今が大変でも自分が将来「良かった」と思えたら、それは素敵な子育てが出来たと言う事ではないでしょうか。
そう思える様に私自身一日一日を大切にそして楽しく子供と過ごして行きたいと思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

1975年生まれ(41歳)の「10歳の男の子」と「7歳の女の子」のママです。 「死産」「流産」と辛い経験を乗り越え、日々悩み、笑い、周りの協力を得ながら楽しく育児しています。 ワーキングママを経験し、現在は専業主婦をしながら子供と一緒に成長中です。