発達障害の特性の1つにフラッシュバックがあります。自閉症の特性を持つ発達障害に多いと言われていますが、長男もフラッシュバックを起こしている事がありました。
フラッシュバックとは
フラッシュバックとは、過去に起きた出来事が、今、現実に起きているかのように思い出されることで、その時の状況や感情、人によってはその時のにおいなどが全て蘇ってくることを言います。私も過去に次男がジャングルジムから落ちてしまったことが大きなトラウマになり、その後半年くらいはストレスとフラッシュバックに悩まされました。
寝る前やボーっとした一瞬に、記憶の映像と感情、その時の感覚(恐怖)が体感として蘇ってくるので、フラッシュバックが起きる事がとても怖く、フラッシュバックに怯えていた事もありました。
次男の行動に、似たような状況を見ると(落ちそうで危なっかしい)、今でも一瞬のフラッシュバックが起きますが、私も対応に慣れてきたので、過去の出来事だったと自分に言い聞かせることで、感情的な部分を抑えることが出来るようになりました。
私は一時的なフラッシュバックでしたが、発達障害の特性はずっと続きますので、とても大変だと思います。また自閉症の特徴としてタイムスリップ現象というものもあり、嫌な記憶を忘れられないということもあるようです。起きるタイミングは人それぞれ違うとは思いますが、その度に大きなストレスもかかりますし、その感情の後処理も大変な事だと思っています。
長男のフラッシュバック体験
長男は今年小学5年生。一般的には一人で寝られる歳でしょう。しかし長男は、今でも1人で寝る事を嫌がります。寝る前になるといろいろな事を考えてしまうので、過去の嫌だったり辛かったり悲しかったりした記憶が蘇ってくる、フラッシュバックを起こしてしまう事があるからです。小学5年生になった現在では、フラッシュバックの頻度はかなり減ったと思います。しかし、過去には、日々の生活が落ち着かなかったり、ストレスを解消できずにたまってきたりすると寝る前にフラッシュバックを起こして叫んでいる事がありました。そしてその後はひどいと1時間くらい泣き続ける事もありました。
幼少期は、私も発達障害の対応に試行錯誤している段階でしたし、私以外で関わる大人の対応もいいものではありませんでした。何度言われてもわからない、何度言われても同じ事をしてしまう長男が、「バカだから」と心無い言葉を言われてしまう事が多くあり、その度に長男は「バカじゃないもん」と言い返していましたが、心の傷はどんどん深くなっていきました。理解されずに責められていた頃の長男の心は、とても一人で抱えきれるものではなかったのだと思います。
当時は、半年前に言われたことでも、フラッシュバックで蘇ると大泣きしていました。「僕はバカじゃない!!バカじゃないのに何でバカって言われなきゃいけないんだ!」と悲しみとやり場のない怒りが混ざっていたように思います。1つの感情でいっぱいになり、半ばパニックのように泣き叫ぶ長男に、私はただひたすら、なぐさめて落ち着かせる事しか出来ませんでした。
フラッシュバックが落ち着いてきた理由とは
長男のフラッシュバックがひどかったのは4、5歳くらいから小学2年生頃まででした。
今でもたまに、寝る前に一瞬記憶が戻って「うわっ」と言って起きてしまう事がありますが、すぐにまた寝る事が出来ています。
4、5歳の時はフラッシュバックだとはわからなかったので、泣く長男を落ち着かせるしか出来ませんでしたが、ちゃんと話せるようになり、理由を聞く事が出来てからは、イヤな記憶について長男が話してくれる度に「あなたはバカじゃないからね。」と伝えるようにしました。
そして、言った人にも何かの理由があって言ったのかもしれないけれど、「バカ」と言われることは嫌だったし傷ついたね、と伝えるようにしました。言った側の問題を長男が引き受ける必要はないと思ったからです。大人は反面教師的な言い方や皮肉、嫌味など、様々な表現をしますが、言葉の裏の意味は長男にはわかりませんから。
小学2年の時に長男に発達障害の事を話した後から、長男の生活は徐々にですが落ち着いていきました。自分のせいではない事が、少しずつですが理解できたのでしょう。まだ生まれてから10年も生きていない子供に、出来ればこんな思いはさせたくなかった。全ては今だから言えることです。
フラッシュバックの対応についても、人それぞれだとは思いますが、少しでも今日が楽しい一日になるよう、明日の未来が明るい未来になるよう、長男のために私も頑張っていきたいと思います。