長男が小3の時、担任の先生の理解があまり得られずに、少しの間ですが不登校になった事がありました。
入学してからずっとずっと不安に思っていた学校でのパニックも、この年に初めておこしましたし、クラスも学級崩壊するのかもしれないと親の目から見ても、落ち着けるクラスではありませんでした。
環境が整わないと長男の心も不安定になっていき、ついには不登校。いつかどこかでこの日がくると予想はしていたので、私はそこまで落ち込んだりはしていなかったのですが、医師の判断は違いました。
医師の判断
定期的に療育に行っているセンターで医師の診察があります。
1学期に1度は長男も一緒に診察を受けますが、ほとんどは私が日常生活を話し、医師が判断していくという診察です。
3年で担任が代わり、クラス替えもあり、新たに学習障害の診断も受けた年。長男にとっては全く落ち着かない環境についていけず、担任の先生もうまく対応出来ず、不登校になっていった状況から、医師は、以下の3つを提案してくれました。
・環境を変える(担任がクラスの状態を良い方向に持っていく)
・情緒固定級に転校する
・薬を飲む
担任が環境を変えていくのは、9割がた無理だと思いました。出来るならやっていますから。担任もお手上げ状態だったので、ここに希望は持てませんでした。
薬を飲むという選択、それまでは、薬を飲まなくても周りの理解と療育、家での対応でなんとかやってこられていましたので、薬は飲んでいませんでした。これはいつか医師から言われる日がくるだろうと思ってはいましたが、すぐには即答しませんでした。
私が、一番可能性が高いと考えたのは、情緒固定級への転校でした。
通級に通ってはいたものの、通常級にいる事に無理が出てくる事は予想の範囲内でしたので、いよいよ本格的に考えなくてはならない時がきたのだと、少し覚悟を決めました。
しかし、次男が入学し、朝、一緒に学校に行っているのに、長男が転校したら別々になってしまう。
運動会などの学校行事も全て別々、放課後の過ごし方も変わってくるでしょう。
何より、情緒固定級のある学校は、交通手段があまりなく、毎日の送り迎えが必須になってくるのも私にとっては負担になる事でした。
転校も視野に入れつつ、先の事を考えた時、薬の服用についてはかなり真剣に考えました。
薬についての考えの違い
発達障害は病気ではなく、脳神経のつながり方が違うだけ、と私は長男に説明しています。
脳の中の神経の配線が違うので、見方考えたかの違いや、発達の違いが出てきてしまう。これから先、治るものでもないし、そもそも、神経のつながり方に正しいも間違いもない、と。長男が出来る事をやれば良く、出来ない事は便利道具を使うか周りに助けてもらおうと、折に触れて話しているし、私自身がそういう考え方です。
薬の服用についても賛否両論。ネットでもブログでも、たくさんの意見が飛び交っているのは私も目にしますし、「発達障害の親の会」のような会に参加した時も、必ずといって話題になります。
長男の考え
私は、医師から薬の服用を薦められた時、本人の意志に任せます、と答えました。
その後、私は長男に、「つながっていない神経をつなげる薬があって、学校生活がつらいのなら、薬を飲んでみて何か変わるか試してみてもいいのではないか」と医師から言われたと話しました。
長男の答えはあっさりしていて、「飲まない」でした。
別に神経がつながらなくてもいい、というのが長男の答えでした。
たぶん私が普段から、周りと同じである事がいい事ではないと話しているからかもしれません。長男が発達障害で産まれてきた事、それにはそれなりの意味があるはずで、長男が変わる必要はない、そのままでいいという私の話を信じているのでしょう。
薬の役目
私自身、産前にうつ病になり、薬を飲んでいましたし、若い頃はあまりにも人前で緊張するので、心療内科で少し神経をはずすような、緊張をほぐすような薬を飲んで人前に出たりした経験があるので、薬も使い方によっては日々を前向きに生きていける安心材料になる事はわかっています。
同時に薬が切れた時のギャップも少し辛いものでした。
慣れてしまえばうまく薬を使えるようになりますが、逆に薬がないと不安になってしまう自分もいました。
長男は今でも発達障害の薬は飲んでいません。
私は、薬を飲むも飲まないも、どちらも正しいと思うのです。
本人と家族が納得していればいい事だと思っています。
周りがとやかく言う事ではないと思うのです。
一番望む事
発達障害本人の事も家族の事も、当事者でしかわからない事は多々ありますし、考え方も方法も人それぞれで良いと思います。
不安と戦いながら、それでも先の事を考えての今の選択。
そこに間違いも何もないと思います。
通らなければいけない道。
薬を飲むにしても、飲まないにしても、周りは非難批判をするのではなく、本人と家族の選択を受け入れてもらいたい。
私は発達障害児を育てる親として、周りの方々に切に望みます。