発達障害と知的障害「自閉症の友達が教えてくれたこと」

私が子供の頃、小学1年の頃は同じアパートに住んでいた同学年の友達が自閉症でした。
小学2年の頃に転校した先で同じクラスにいた友達も同じく自閉症でした。
当時は私も子供だったし、自閉症だからといって何か特別な事をしていたわけでもなく、二人とも近所だったので何の疑問もなく一緒に登下校し、一緒に遊んでいました。

子供の頃の記憶

今ならカナータイプの自閉症で、知的障害も持ち合わせていた事はわかります。
遊んでいた、といっても、コミュニケーションはほとんど取れません。
通学路、道の真ん中で突然ランドセルの中身を広げてしまったり、同じ言葉をずっと繰り返していたり、私が言った事を繰り返しているだけだったり。

授業中に突然、大きな声を出して黒板に字を書き始めた事もありました。
計算がものすごく速くて、空中に指で計算して答えを出していました。
子どもの頃の私には、その姿が天才に見えました。

歩く時は高学年になってもずっと手をつないで歩きました。
先生に怒られてしまうと、ものすごくシュンとなってしまって、先生の言葉を理解はしていないのだろうけど、きっと怒られている事はわかっているのだと思っていました。

状況がわからないと、何で怒られているのかわからないし、どうしていいのかもわからないのだろうと思います。その戸惑っている様子がいたたまれなくて、でも私にはどうする事も出来ない。子供の頃から何気なくそんな事を感じ取っていたような気がします。

それでもなぜか私は一緒に過ごしていました。
面倒を見る、という風には思っておらず、ただ私の事を必要としてくれていただけでしたが、傍にいる事、ただそれだけでしたが友達の役に立てるのが子供の頃からうれしかったのは覚えています。

長男の発達について、子育て支援センターに相談しに行こうと思ったきっかけは、私が子供の頃にこの2人の自閉症の友達と過ごした経験があったから、私の話した言葉を長男がそのまま繰り返した時(オウム返し)、何かひっかかるものを感じる事が出来、外に相談に行く事が出来ました。

今でもたまに思い出すのですが、長男がオウム返しで言葉を返してきた瞬間、過去の記憶がフラッシュバックするかのように、自閉症の友達と重なったのです。
「あ、怒っちゃいけないのかもしれない。」と思いました。普通の言い方をしても伝わらないな。」と感じました。長男が私に怒られて戸惑っている様子と、自閉症の友達が戸惑っている様子が重なって見えたのです。

発達検査

この事をきっかけに発達検査を受ける事になったわけですが、初めて受けた発達検査での結果は「発達障害グレーゾーン」でした。
就学相談前に正式に医師の診断を受け、その時に初めて長男のIQがわかりました。長男は、知的障害はなかったのですが、だからといって将来的な不安がなかったわけではありません。

もちろん、知的障害を持ち合わせていれば、程度によるのでしょうが独り立ちするのは難しいのかもしれません。同じ発達障害でも、知的障害があるかないかによって進学の道が限られてくる事もあるでしょう。

知的障害のある子を持つママ友の思い

私のママ友にも1人、知的障害を持つ自閉症児のママ友がいます。

「喋れるだけいいよ。」

とそのママ友は言います。
そうなのかもしれない、私は長男の事でいろんな事が大変だと思っているし、私に出来る事は何でもやろうと思っているし、長男の将来のためにと先々の事を考えますが、
そのママ友は、毎日がいっぱいいっぱいで先の事は考えられないと言っていました。

ただ、親が先に死んでしまった時のために、20歳になったら施設で暮らしてもらう計画を立てていると話してくれました。
私には考えた事もなかった事をスラスラと話し始めるママ友に正直びっくりしましたが、最後まで話を聞いてみると、その選択もあるのかもしれないと思える話でした。

独り立ちの可能性が考えられない場合、より安全に、より安心して親も子も暮らせる1つの選択しとして、親の死期が近づいてから施設に入れても慣れる事もそこでやっていく事も難しいかもしれない。

それなら、20歳という歳を一区切りにして、施設に慣れてもらって、そこで楽しく過ごしてくれるのなら、離れて生きていく選択肢もあるのではないかと。

兄弟がいると

「ずっと一緒に暮らしていける道も考えたんだけどね。」

とママ友は少し切な気な目で話してくれました。
しかし、妹もいて、親がいなくなってしまった後の面倒を妹に見てもらうわけにはいかない。妹には妹の人生があるのだから、誰かの助けが必要なのであれば、施設に行ってもらうしかなくてね。と言っていました。

今の私には、長男が自立して離れて暮らす選択肢はあっても、施設を考えた事はなかったので、ママ友のたくさん悩んできたであろう道のりを歩いていく事はありません。
しかし、ママ友は前向きでした。自分達家族にとっての一番いい選択をしたのだという、意志の固さが感じられました。

ひとそれぞれの道とは

周りが口を出せる事は何もありません。
ママ友の意志の固さに、私はとても勇気づけられました。

健常の子を育てているお父さんお母さんも、自分の子どもには「道は1つではない。」と話すでしょう。
発達障害の特性を持つ子の親として、この言葉はよりリアルな現実です。
道はいろんな道があるのだと、どんな子でも、どんな人でも、その人なりの道をいけばいいのだと改めて身に染みて感じた出来事でした。

ABOUTこの記事をかいた人

2人の男の子を育てている主婦です。(現在小4と小1) 長男が発達障害のため、ちょっと変わった子育てをしています。 今年から次男が小学校に入ったので、少しずつ自分の時間が持てるようになりました。 そんな私のちょっと変わった子育てのお話を紹介致します。