発達障害の人ではなくても、「忘れる」という事は多々ありますよね。物を忘れたり、人や場所の名前を思い出せなかったり、出来事を忘れてしまったり。パソコンやスマホが主流になってからは、さらに人間の物忘れはひどくなってきているような気がします。
「忘れる」ということは
私も、「3歩歩けば忘れるカラス」とよく親に言われていました。返事だけはしっかりするのですが、すぐに忘れていたみたいです。子供の頃は、親に言われたことなんて、覚える気もなかったのでしょうね。
自分が忘れっぽい頭である事は、子供の頃からわかっていましたから、勉強などは、繰り返し繰り返し、地味にコツコツやるタイプでした。そして楽しかった事も、嫌な事も、勉強したことさえも、何となく記憶には残っているものもあるけれど、割とキレイさっぱりと忘れてしまうので、ストレスの少ない、毎日が楽しい生活を送っていました。
「忘れる」ということは、あまりいいイメージはないですよね。頭が悪いイメージと直結します。しかし、「忘れる」という能力は、神様からの贈り物だという話を本で読んだことがあります。人間、忘れられないと、何から何まで覚えている事になってしまうので、あっという間に容量オーバーになってしまいますし、嫌なことや辛かったこと、覚えていたくないことまで全て覚えていることになってしまいますから。
寝ている間に、脳の整理整頓が行われ、日々の生活に必要な情報と忘れてしまってもいい情報に分けられているのだと思います。記憶の仕組みを調べると、とても興味のある情報がたくさんありますから、調べてみると面白いですよ。
長男の物忘れの度合い
さて、発達障害の当事者でもある長男ですが、忘れ物は多いのですが、物忘れはあまりありません。人の名前や出来事や場所はバッチリと覚えています。嫌な出来事も忘れられないくらい、記憶力はバツグンです。長男が、「あれ、なんだったっけな?」と思い出そうとしている様子はあまり見たことはありません。
学習障害で漢字がとても苦手なので、漢字を思い出せない、という場面はとてもよく見かけますが、そもそも論で覚えていないのだと思います。ちゃんと認識していないので、この場合は物忘れには入らないと思います。「忘れ物」は以前はとても多かったのですが、最近では人並みに減りました。長男なりの忘れ物対策もありますので、この点においてはなんとかなっていますし、忘れてもあらかじめ予備を学校に用意しておいたり、忘れたと腹をくくることで、なんとかなっているようです。
発達障害と短期記憶
長男の場合、以前は短期記憶が少しおかしいと思うことがありました。
「忘れる」というよりも、そもそも記憶をインプットする時点で何かが変に記憶されてしまっていたので、今回の物忘れとは少し違っていました。
発達障害の特性として、記憶がバツグンにいいタイプと、極端に弱いタイプといるそうです。しかし、私の見解ですが、発達障害の方は、やはり長男と同じように、インプットの段階で、少し違う記憶の方法を持っているために、物忘れが多いように見えてしまう、という方が合っている気がしています。
アニメ映画の「ファインディング・ニモ」に出てくるドリーはすぐに忘れてしまう特性がとても激しいですが、ドリーもまた、そもそも覚えていないような気がしています。頭の中では、聞いた言葉を認識して言葉として口には出しますが、記憶の回路を通っていないために、記憶に残っていないような気がするのです。ですので、忘れてしまっているように見えていますが、最初から覚えていなければ「忘れる」ということにはなりませんよね。
同じようなことは発達障害の方の特性にもあるのではないか、と思っています。
物忘れの対策として
しかし、現実問題として、物忘れがひどいという認識を持たれてしまうと、当事者の方も周りも困ってしまいますよね。本当は、当事者の方の特性と記憶について、しっかりと把握できることが一番いいと思うのですが、仕事をされている方などは特に、そのような実験期間で探ることは難しいかもしれません。一番効果的だと思うのは、やはり当事者の方が「物忘れ」に対しての意識をしっかりと持つことだと思います。忘れてしまうことを始めから念頭に入れて、忘れてはいけないことへの対策を取ることがいいと思います。
発達障害の方に限った話ではないのですけれどね。
歳とともに物忘れはひどくなっていきますから、普段からしっかりと脳を使って過ごし、少しでも予防していけたらいいですよね。