発達障害の子供に私が出来ること

発達障害の子は、とても純粋で素直で自分に正直だと思います。
人を騙そうなんて気はなく、人を疑う事も知らない。言われた事や見た情報を、ねじ曲げる事なく受け取る、それだけに、本人も大変な思いをしたり、親としても切ない思いをしたりする事もあるでしょう。

しかし、その純粋さや素直さ、真っ正直な思いに体当たりする姿を見た時、周りで接する人は、心が洗われるような気がします。
だからこそ、傷つく時は深い、そんな気もします。

状況がわからないという事

長男が入学して間もない頃、学校から帰ってきて私に聞いてきました。

「先生がみんなで一緒に帰るように言っていたのに、僕が近づくと友達が走って逃げるんだよ。みんな笑っているから僕も走って追いかけたのに、追いつくとまた走って逃げるんだ。道路は走ってはいけないはずなのに、どうしてみんな逃げるのかな。」

長男にとっては、素朴な疑問でした。
しかし私はこの話を聞いた時、胸がものすごく痛くなりました。
からかわれているのは間違いないと、私が学校生活で一番恐れていた、いじめの始まりのように思えました。

しかも、長男は、からかわれている事に気づいていないのです。
どうしてかな、と純粋に疑問に思っているだけなのです。

担任の先生に相談する

私はどうしていいのかわからず、長男には「なんでだろうね。」とだけ言葉を返し、担任の先生に電話をしました。
長男の話を鵜呑みにしてはいけないけれど、あった事はきっと事実だろうと。嘘をついたり、作り話をしたりする事は出来ないので。
そして長男本人が気づいていない事。気づかなければ嫌な思いをしなくて済むのに、からかわれている事を教えていいのだろうか、と相談しました。

正直、どうにもできないこのやるせない思いを、どこにどうぶつけていいのかわからずに担任に相談しましたが、長男はこれから先もずっとこういう世界で生きていかなければいけないのかと思うと、目の前が真っ暗に見えました。

しかしこれは、状況がわかる私だからこそ、どうにも出来ないもどかしい思いを持つのであって、当の本人の長男は、何とも思ってないのです。

状況を教える方がいいのか、教えない方がいいのか、担任の先生と2人で悩みました。
いずれ、わかってくる時期はくるはず。しかし、入学したばかりの長男に、実はからかわれていて、エスカレートしてくるといじめになるかもしれない、等という話は出来ませんでした。

結局、その時は教えず、担任の先生がクラスの中で、少しずついじめの話や友達との関わり方の話を取り入れていく中で、今回の事を例として長男の名前は出さずに話してみるという事で相談は終わりました。

一緒に帰りたい

その後も同じ事はしばらく続きました。毎日毎日、走って逃げられるうちに、帰ってきてから泣き出すようになってしまいました。「逃げられて嫌だ」という事がわかってきたのかもしれませんが、「一緒に帰りたい」という気持ちの方が強かったようです。
それに、先生がみんなで帰りなさい、と指導していたので、みんなで帰らなければ、と頑なに守ろうとしていたのでしょう。

私は何度も、友達が走って先に行ってしまうのであれば、長男は自分のペースでゆっくり帰ってきたらいいじゃない、と薦めるのですが、最終的には、圧倒的に体力では負けない長男が何度逃げられても追いついてしまうので、周りの友達が諦めたようでした。

結局、長男も仲間に入り、みんなで帰ってこられるようになるまで、1か月近くかかりました。

私が解決しないという事

今回のような事は日常の出来事です。
わからないからこそ、いい事も悪い事も困る事もあります。

私が気を付けているのは、何でも私が解決してしまわない事です。自分がどうしていくのかを自分で決めていく。これは私の子育てで重要な所です。
先回りして解決しない、一緒に考える、違う考え方や見方を教えたり調べたりするようにしています。答えも方法も1つではないと思うのです。

嫌な思いをした事をただ受け止め、どうしてだろうと思ったら一緒に考え、うれしい時は私もうれしいと喜ぶ。
素直で純粋過ぎるから、傷ついていく姿を見るのはとてもつらいのですが、社会は純粋だけでは生きてはいけないですからね。

一歩家の外へ出たら、長男にはわからない事だらけの不安の世界です。
家の中だけは落ち着ける、安心できる場所にしておきたい、そして私は最大の理解者でありたいと思うのです。

ABOUTこの記事をかいた人

2人の男の子を育てている主婦です。(現在小4と小1) 長男が発達障害のため、ちょっと変わった子育てをしています。 今年から次男が小学校に入ったので、少しずつ自分の時間が持てるようになりました。 そんな私のちょっと変わった子育てのお話を紹介致します。