発達障害であることをカミングアウトするということ

長男が保育園にいた頃、仲良くしていたママ友がいました。お互い、仕事帰りの保育園で会って話しているうちに意気投合し、休日にたまに遊びにいったりする事もありました。長男は次男出産の時に、2歳半で保育園をやめましたが、ママ友とはその後もたまに遊んだりして、連絡を取り合っていました。長男の発達障害がわかってすぐ、たまたま一緒に遊ぶ機会があり、ママ友に長男の発達障害の事をカミングアウトしました。嘘を言っている訳ではないし、友達だから、という半ば相談するような気持ちでカミングアウトをしましたが、その結果は私の予想していなかった結果を招きました。

発達障害なんだから、そっちが悪いんでしょ

子供達が仲良く遊んでいると思っていたのも束の間、あっという間に喧嘩になりました。最初は口げんかをしているようでしたが、徐々に相手の子が長男をたたきはじめ、そのうち、おもちゃのバットで長男をたたき始めたのです。
ママ友はそれを見ていましたが、自分の子供を止めるわけでもなく、声をかけるわけでもなく、横目で見ながら私と話をしていました。たまりかねて私が途中で止めましたが、長男は丸く小さくしゃがんだまま、一度もやり返しませんでした。長男は力が強かったので、子供に手出しをしないように言い聞かせていたため、その約束を守ったのです。
あんまりだと思って、相手の子に、「なんでバットでたたくの?おもちゃだってたたかれ続けたら痛いし嫌なんだよ。」と言ったら、ママ友が突然、「発達障害なんだからそっちが悪いんでしょ。」と言い出しました。あんまりな切り替えしにビックリした私は、そのまま長男を連れて帰りました。「痛かったろうに。やり返さないでよく我慢したね。」と帰り道、長男に話ながら歩きました。涙が出て、涙が出て、止まりませんでした。
正直、なんでママ友にあんないい方をされなければいけなかったのか、私にはまだわからなかったのです。
今考えても納得のいかないママ友の言葉、この言葉がずっと深い傷になっていて、その後しばらくは、親族以外の誰にも長男の発達障害について話す事はしませんでした。

カミングアウトと偏見

幼稚園時代、担任になる先生以外には長男が発達障害である事を話しませんでした。保育園時代のママ友の言葉は、私の深い傷となって、今でも突き刺さったままです。
その後、そのママ友との縁はバッサリと切って、二度と連絡する事も会う事もしませんでした。私もまだ、発達障害がわかったばかりで何も情報がない状態でしたから、考えが甘かったのだと思います。
話せばわかってくれると思っていました。同情してほしかったのかもしれません。大変なんだね、と日常の大変さをわかってほしかったのかもしれません。
時代は今ほど発達障害の事が知られていたわけではなく、テレビや雑誌で発達障害関連の事を見たり聞いたりした事はない時代でした。当然、周りのママ友も発達障害という言葉にピンとくる事はなく、障害という名がつくので障害者のような偏見があったように思います。知らなかった、ただそれだけなのですが、初めてのカミングアウトは想像以上の打撃を私に与えた事は間違いありません。

カミングアウトするメリット

小学校に入って2年目の夏、私は長男に発達障害である事を話しました。特性により長男本人の困り感が強すぎて、自分を責める長男に、真実を伝えようと突然決め、突然カミングアウトしました。長男はその話を素直に受け止め、困りごとの原因は自分のせいではなかったと知る事が出来、それ以降の2年近くで「発達障害で良かった」と思えるまでに成長しました。
長男にカミングアウトした後からは、周りのママ友にも長男が発達障害である事を隠さずに話すようになりました。その頃には、長男が発達障害である事を良しと思えるようになっていたからです。
特性の困りごとの対局にある、秀でている所がわかるようになり、困りごとへの対応にもだいぶ慣れ、発達障害関連の情報も大体知り尽くしたところだったので、私にも余裕が出てきたのでしょう。どうせ通級に行っているのでバレてるし、というのもありました。
2度目のカミングアウト、あれから4年近くたっていましたが、時代は変わっていました。私が、長男が発達障害である事を話すと、「発達障害」という言葉を知っている人がほとんどでした。詳しい事は知らなくても、名前は聞いた事があるとか、有名な芸能人が発達障害だったとか、何かしらの情報に触れているようでした。
そして、特に偏見もなく、同情もない。話したからといって、私や長男が避けられるような事もなく、いじめのきっかけにもなっていない。ただ、普通の会話の1つとして、長男の発達障害は、話のネタになるようになりました。
保護者会などでわざわざ機会を設けてまで話してはいませんが、一応、深い傷があるので、話す相手はある程度選ぶ用心深さを身に付けました。通級に行っている以上、聞かれたらしっかりと話すようにしています。
発達障害の詳しい事はなかなかわからない事なので、やれば出来るとか、うちも同じ事で困ってるとか、ちょっと私の認識とは違う方へ話が行ってしまう事はありますが、隠さずに話せる事で、周りからも情報が集まってきますし、結果、良かったと思っています。
カミングアウトする事で、配慮を受けられ、いい面もあるだろうし、良く知らない人達からの偏見に遭う事もあるでしょう。これから大人になっていく長男には、自己理解をしっかりとしてもらい、周りにカミングアウトしていく事で、自分の生きる世界を作っていって欲しいと思っています。そのために、今、私に出来る事を精一杯やっていきたいと思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

2人の男の子を育てている主婦です。(現在小4と小1) 長男が発達障害のため、ちょっと変わった子育てをしています。 今年から次男が小学校に入ったので、少しずつ自分の時間が持てるようになりました。 そんな私のちょっと変わった子育てのお話を紹介致します。