イジメによる後遺症にどう対応するのか

近年、ようやくイジメによる後遺症について、その症状が深刻であるということが少しずつ知られるようになって来ました。しかも、苦しんでいる人達は実に多いこともわかって来ました。
子どもがイジメにあった時、後遺症は残るものと考えて、親としてどう動いたらいいのか、どう守っていけばよいのか、しっかりと考えていきましょう。

後遺症はいつ現れるかわからない

イジメにあった恐怖や辛さは、たとえそのイジメが解決して元の暮らしに戻れたとしても、脳の奥深くに記憶として残っており、完全に消えてしまうことはありません。
人の記憶は、自分を危険にさらした事柄に対して、次の危機に備えて対処するためのツールにするために、楽しかった事柄よりも強く残るようになっています。
イジメの記憶も同じですが、この場合は対処するためのツールになるどころか、普段の生活をするのにも支障をきたす程の精神的な苦痛が再来して、様々な精神疾患や引きこもり、精神崩壊すら引き起こすこともあります。
イジメから脱出して穏やかに暮らせるようになっても、突然フラッシュバックはやって来ます。
それがイジメ直後なのか、もっと後なのかは分かりません。中にはイジメから何十年も経った後に来た人もいます。それは、本人すら分からないのです。本当に突然やって来て、それから苦しみの中にずっと身を置く事になってしまいます。

イジメ直後から早いうちに手を打つ必要性

イジメの後遺症は深刻です。決して放置してはいけません。いつフラッシュバックがやってくるか分からないのですから、なるべく早い内に手を打つべきです。
しかし、手を打つと言っても、どうすればよいのでしょう。
ぜひ行動して欲しいことは、良い心療内科のお医者さんを探し、良いカウンセラーを見つけることです。
まだ症状が出ないうちには行けないだろうと思うかも知れませんが、イジメを受けたこと、今後が気になることを伝えれば、十分診療対象になります。
歯科治療は予防通院が大事と言われますが、この場合も同じです。カウンセリングも持続的に受けることで予防出来ますし、精神的な症状が出始めたらいち早く見つけることが出来るので、対処も早く、放置している人とはそこで雲泥の差が生まれます。
風邪などの病気になれば、お医者さんに掛かるのは当たり前ですから、心の病気もお医者さんを頼るのは当たり前です。
お医者さんやカウンセラーと繋がりを持っておけば、いつ出るか分からないフラッシュバックに対しても、立ち向かう勇気をもらえるでしょう。

人の支えこそ克服への近道

ある男性が大人になってフラッシュバックに悩まされるようになり、自殺をも考えるようになった時、支えてくれたのは奥さんだったと言っていました。妻の泣く顔が浮かんで来て、妻に悲しい思いをさせるわけにはいかないと、自殺を思いとどまったと話されていました。
自分を愛してくれて、支えてくれる人がいるからこそ、何度も押し寄せるフラッシュバックと戦えているそうです。
子どもが辛い時に、愛してくれている両親や周りの人達が側にいて、いつも支えになろうとしていることを知れば、最悪な事態は避けられるはずです。
だからこそ、あなたが大事で、一緒に泣いたり笑ったりしたいと伝え続けることが、フラッシュバックと戦う大きな力になるでしょう。
完全に克服は出来なくても、立ち向かう力があることで、子どもは自分自身の一生を棒に振ることもなくなります。
せっかく生まれてきたのですから、悲しいことばかりに振り回されるのでは時間がもったいないです。
一生のうちに、笑っている時間が少しでも長いように、早い段階で子どもを守る決断をして下さい。
子どもを支え、守れるのは、周りにいる大人達だということを、決して忘れてはいけないのです。

ABOUTこの記事をかいた人

1964年生まれ。 「辛い時期もいずれ過去になる。」なんて台詞が解る年頃になりました。 これまでの経験を生かし、少しでも興味を持ってもらえるような記事を書きたいと思います。