専業主婦、仕事(パート)を探す。
私は、現在、5歳と3歳の子供を育てながら、公立の病院でパートタイムの看護補助をしています。
働き始めてから約2年が経とうとしています。一人目を出産してから4年間は専業主婦をしていましたが、上の子は3歳から幼稚園に預け始めました。
下の子が2歳になる頃、保育園を探しながら仕事を探していた時、職安で公立病院の看護補助の募集に目が留まりました。その病院は家から歩いて行ける距離にあり、敷地内に院内保育所もありました。勤務条件は、土日祝日休みで時間は8時30分から14時30分まで。パートの私たちにも、年次休暇が12日も与えられるため、月に1回希望休を取ることができるという好条件でした。
私と夫は同じ県の出身でしたが、夫の仕事の関係で県外に出ていたので、自分たちの両親に頼ることもできない環境で、夫婦で協力する以外に頼れる人はいませんでした。フルタイムで働きたい気持ちもありましたが、子供が小さい上に頼れる人もいない環境では、フルタイムは断念せざるを得ませんでした。今の子育て世代には、私たちのような家庭は珍しくないと思います。こんな環境で小さい子供がいながら仕事をするということは、誰に聞いたって「大変なことも多いよ」と聞いてはいたものの、これだけ良い条件ならきっと大丈夫だろうと安心していました。
子育てパートママへの職場の目
無事採用となり、いざ社会復帰!私は、新しい生活のスタートにワクワクしていました。
院内保育所があることで、下の子の様子を昼休みに見に行くこともできて、環境的には順調なスタートでした。
しかし、仕事を始めて間もない頃、保育園から職場に内線がかかってきて、下の子が熱を出したとのことでした。もちろんわが子のことが一番に心配でしたが、次に頭をよぎったのは上司への休みの相談。私の職場は男性師長でした。
「すみませんが、子供が熱を出してしまったので、これから病院へ連れて行って、そのままお休みをいただいてもよろしいでしょうか?」と言うと、
「は?あ~はいはい。休みの申請だけ済ませといて。」と呆れたような表情であっさりとした答えが返ってきました。
私はなんだかとても虚しくなり、胸がギューっと締め付けられて苦しくなりました。
他の職員や同じパートの人たちにも「すみません!」と言って頭を下げ、子供を迎えに行きました。
それからも子供の急な発熱やけがで休んだり、早退させてもらうことが何度かありましたが、
「子供の熱は仕方ないからね。気にしなくていいよ。」と声をかけてくれる人もいれば、
「私たちが子育てしている頃は、育休とか産休なんかまともに取れなかったし、簡単に休めるような雰囲気も無かったわよ。子供手当ももらえるんでしょう?今の人たちは恵まれているわね。」と言った人もいました。
久しぶりの社会復帰に意気込んでいた自分の気持ちとは裏腹に、現実社会は、意外と子育てママに対しての理解が乏しく、私はとてもがっかりしました。私だって一日の仕事をやり遂げたい、けれど子供は私が迎えに行くほか頼れる人もいない。仕事と子供の板挟みになって、もどかしい思いをしていました。
ただでさえ、パートタイムで勤務時間も短いのに、子供が熱を出せば、仕事を他の人に残して帰らなければならない。
残された仕事をする人たちからすれば、また休み?と思われても仕方がないのかもしれません。
年次休暇があるおかげで、子供が急に熱を出したりしても欠勤扱いにはならずに休むことはできるものの、周りの人に気を使い、肩身の狭い思いでした。
熱が下がらなければ次の日も休まないといけないし、自分の仕事が他の人の負担になる事を考え出すと、子供の熱以外にも気がかりな事が頭を悩ませます。
悩んだって仕方のない事なのですが、仕事を始めた頃は覚える事も多く、新しい人間関係の中で気を使いながらの毎日に、へとへとになっていました。
両立の難しさ
朝は子供に「急いで!急いで!」と言いながら送り出し、仕事が終わって家に帰れば休む暇もなく家事をやっつけ、夕飯の準備をする。下の子は保育園という慣れない環境の中で一日頑張っている分、帰ってきてからの機嫌が悪く、抱っこをしながら家事をするという日々を送っていました。
私は、勤務時間が自分の生活に合うかどうかという事ばかりを重視して今の仕事に応募しましたが、看護補助という仕事は、とても体力を要し、毎日が育児と家事と仕事をこなすことでいっぱいいっぱいになっていました。
そんな私を見て、夫は「パートなんだし、そんなにきついならもう辞めたら?」と言いましたが、パートだからこそ短時間の仕事と家事が両立できない自分が悔しくて、私は意地になっていました。そんな時に生まれて初めて口唇ヘルペスができ(疲れやストレスが多いと免疫が落ちてでてくる)、急性胃腸炎になり、体も心もボロボロになっていました。
それからというもの、夫は育児や家事に協力的になり(もともと協力的ではありましたが)、夕飯後の皿洗いやゴミ出しは夫がしてくれていました。
これで育児や家事に協力的でない夫だったら、絶対に私自身がつぶれていたと思います。きっと、育児や家事を手伝ってくれない!と嘆くママ達は多いと思います。そんな時は、ムッとした態度をとるのではなく、仕事と家事の両立が思った以上に大変だから手伝ってほしいと素直に心の声を伝えてみましょう。それでも手伝ってくれなければ、仕事終わりの夫に子供を預けて好きなことをしに出かけましょう。ママ達の本気度が伝わるはずです!(笑)
仕事を選ぶ基準とは
パートと言っても、私のように体力的にきつい仕事や、こき使われるような仕事を与えられたりと、意外と大変なことも多いパートさんたち。
今からパートタイムで働こうと思っている方は、仕事を選ぶ上で、自分が何を一番重要視したいかを明確にしておくといいかと思います。自分の得意分野を活かしたい、デスクワークが良い、通勤時間が短い方が良い、時給重視!など等。私は、夫が家にいないことが多かったので、条件は限られていましたが、子供との時間を大事にしたかったので、土日祝日が休みの職場を選びました。病院や公的な機関は、土日祝日が休みであることが多いですし、福利厚生がとても充実しています。結果的に、今の仕事は体力的にはきついことも多いですが、患者さんから「ありがとう。」と言われた時にやりがいを感じますし、常に忙しい分、勤務時間があっという間に終わる気がします。
私のパートの同僚に2人の小学生を子供に持つママがいますが、彼女はこの仕事を始めてから看護師になるという目標までできました。子育て真っ只中なので、まずは准看護師になるための看護学校を受験するために準備を始めています。ただ家庭の収入の足しになるからと働くのではなく、自分のステップアップにつながる興味のある仕事にチャレンジしてみることも選ぶ基準の一つだと思います。
バランスが大事
正社員やフルタイムで仕事をしている方は、パートの私たちよりももっと大変なことが多いと思います。正社員やフルタイム、パートそれぞれが生活のリズムも違いますが、共通して言えることは、特に子供が小さい間は、家事も育児も仕事も完ぺきにこなすなんて無理です!仕事の手抜きは許されませんが、育児や家事は手を抜けるところは上手に抜いてバランスをとることが大事だと思います。
私はパートだからこそ育児も家事も仕事も全部こなしていかなければ!と頑張りすぎていました。
一度自分の生活を見直し、毎日しなければいけない家事と2~3日に一回でいいなということを自分の中で決めて分散させることで、とても気が楽になりました。
毎日の夕飯の献立も、思いつかない時には仕事の休憩時間に職場の人に「〇〇さん、今日の夕飯は何作ります?」と聞くことで会話も生まれますし、「〇〇スーパーに売ってある、焼くだけの餃子はとっても美味しかったわよ!」など(笑)いろんな情報をもらうこともできます。
時にはスーパーのお惣菜に頼ることがあってもいいと思います。
大変なことも多いですが、働き始めて感じるのは、社会の一員として生きているという実感が持てること。専業主婦の時は一日中部屋着のままで過ごしたり、夫が出張で帰ってこない日は、子供としか会話していないことに気づき、社会から取り残されているような寂しさを感じていました。
働き始めてみると、新しい出会いから人とのつながりもでき、職場の人たちとランチへ行ったり買い物へ行ったりと楽しみも増えました。
子供を育てながら働くことが当たり前になってきたこの時代、女性の負担は増えていると思いますが、
時には立ち止まり、自分のバランスが保てているかを確認しながら、毎日をできるだけ笑顔で過ごせるといいですね。