発達障害の理解が進む中、採用する会社側でも発達障害の人達を積極的に受け入れようと体制を整え始めている会社も増えてきているようです。厚生労働省の政策としても障害者雇用の助成金や補助金制度を作り、採用できる環境づくりをバックアップしていますよね。
障害者手帳を持っている障害者の方だけでなく、精神障害も補助金対象に入ったことから、障害者手帳を持っていない発達障害の方の雇用についても補助金制度の対象になりました。
発達障害児を育てる親としては、このような傾向はとてもうれしい事ですね。制度改正などがありますから、詳しい情報は、その都度、厚生労働省のページでご確認いただくとして、発達障害の方を雇用するという事について考えてみました。
特性に応じた配慮と環境作り
補助金がもらえるから障害者を雇用する、という考え方はないものとして考えます。そうではない、健全な事業主さんである事を前提に考えてみますね。
一重に、障害の方を雇用する場合、環境が必要になりますね。車椅子の方であれば、車椅子の方が働ける環境が必要です。補助金の使い方は事業主によりけりでしょうが、発達障害の特性により、配慮や環境整備が必要な方を雇用するのであれば、補助金制度はとても意味のある事だと思いました。障害者であれ、健常者であれ、働く環境はとても大切です。仕事の成果に大きくつながる土台のようなものだと思います。
私は過去に、長年派遣社員として様々な会社に入り、仕事をしてきましたが、環境がとてもいい所では作業効率も上がりますし、何よりも会社のために頑張ろうというモチベーションアップにつながりました。会社側が用意してくれる土台の上で、ある程度自由に仕事が出来ることは確実に会社に貢献できる要素につながりました。逆に言えば、環境が良くない所は不満が溜まっていくので、仕事の成果を上げることについて考える時間が、不満を散らさなければいけない時間に使われるので、仕事の効率に影響が出ました。
特性がある発達障害の方達の環境を用意できるのであれば、会社側で整える必要があると思います。
発達障害の人を採用するということがもたらす効果
発達障害の特性を持つ方を採用するという事は、まだまだいいイメージだけがあるわけではないと思っています。変わった人、フォローが必要な人、コミュニケーションが取れない人、と思われてしまうかもれません、実際、その通りなのですが、別の角度からとらえると、違う感性、感覚を持ち合わせた人と過ごすという事は、仕事に支障が出るだけではないと思うのです。特性からわかる人のしくみ、人間社会の構造、暗黙の了解や空気感。
当たり前だと思い、会社の風習や常識、上下関係、社交辞令。いろいろなものに縛られている社会人のストレスの根源に気付かされてしまうのが発達障害の人達との関わりだと思っています。それを、面倒だと感じるか、疑問に思って受け入れるかは、働く人達の人間性に大きく関わってくるでしょう。
発達障害であろうとなかろうと、人それぞれの個性と感性を周りに流されることなく発揮する事ができれば、もしかしたら今よりもいい仕事につながるかもしれない。今まで気づかなかったことに気付くかもしれない。忙しくて構っていられないことも、大変だと感じてしまう事もとてもよくわかります。ですが、そんな風にとらえてもらえたら、発達障害児の親としてはとてもうれしいですね。
発達障害児の親としてこれからの社会にできること
発達障害児を育てている親として、長男が大人になるまでの間に私に出来ることは、生きていく上でのスキルを身に付けさせる事です。健常者のようになれ、という事ではなく、自分自身の自己理解を深め、他人に伝える事が出来、常に改善案や代案を出せるようにする事を目標としています。
逆に、蛍光灯の光や音などの感覚過敏については、どうする事もできないので、サングラスやノイズカットのイヤホンなどを使って自分で対応できるようにしておきたいと思っています。
配慮を求めるだけではなく、特性を持ちながらも自ら歩み寄る事ができれば、特性を活かし、社会の役に立つことが出来ると思っています。人は一人では生きてはいけない。そのことを早いうちから気づき、サポートされながら社会で生きていく長男が、将来は社会のためにサポートをしていく側になれるように、今、私が出来ることをやっていきたいと思っています。