先が見えない毎日
乳児を抱えていると、授乳や夜泣きで自分の生活リズムが狂って体調不良や情緒不安定になり、幼児に育って自分の足で歩き言葉を操るようになっても、大人を相手にするより意思の疎通はスムーズにいかず、予測のつかない言動に振り回されて悩む日々が続くかと思います。
「こんな日が続くのは、一体いつまで?」
一体自分はいつまで、どこまで頑張ればいいのか‥身を削るような、先が見えない毎日は本当に大変です。
でも、子どもはどんどん成長し、日々変わっていきます。
日頃の疲れやイライラをうまく解消・軽減して、今この瞬間しか見られない子どもの姿や表情を見逃さないでいただけたら、と思います。
一日数分でも、自分最優先の時間を持つ
自分自身を取り戻すために、一日数分でも自分だけのための時間を持つようにしてみてください。
子どもが昼寝をしている間、何かに夢中になっている時、夜やっと寝付いた後。
自分のためにお茶を一杯入れて、ちょっとしたお菓子をつまむ、それだけでもいいのです。
買い物に出かけた時にお菓子や飲み物を用意しておくと、より楽しみが増えていいですね。
疲れて何も考えられないのなら、頭を空っぽにしてボーッと座っているだけでもいいのです。
「今日もよくやった、私!」と、ご自分を労ってあげることだけ、忘れないでください。
外へ出よう、たくさん話そう
育児でいっぱいいっぱいでも、ご主人は仕事で多忙、おじいちゃんおばあちゃんは遠方にお住まい、と、手助けが期待出来ない方も多いでしょう。
近くに、児童館や子育て広場のような施設はありませんか?
是非、同じ年頃の子どもを持つお母さんたちと知り合いになってたくさんお喋りして、気分転換してください。
人間同士ですから性格が合う、合わないは勿論ありますが、たとえ一人だけでも真の信頼関係を築ける人と出会えれば、一生の宝となります。
頑張って外出する日は、家事は手を抜いたって構いません。
お母さんが気持ちを明るくして子どもとの生活にゆとりを持つのも、立派な育児です。
その点については、ご主人にきちんと理解してもらいたいですね。
目と、心をかける
子どもはどんどん成長していきます。
思いがけない動作や言葉の数々‥それは成長の一過程であって、二度と見聞きできないものです。
なるべく目と心を子どもに向けて、今この瞬間を十分に味わっていただきたいです。
泣き顔ですら可愛かった、と後で懐かしく思い出す時が必ずやってきます。
そんなお母さんの眼差し、あたたかい雰囲気を子どもは覚えています。
こんなことが出来るようになった、言うようになった、こんな面白いことをしていた‥忙しいご主人にも是非詳しく話してあげて、成長を楽しんでください。
「でも、手伝ってくれると助かる。」と、話の最後に明るく加えれば、次のお休みには積極的に育児に手を貸してくれるかもしれませんよ。
『いつまで』が変わる
幼稚園に入る頃になると、肉体労働的な育児は少しずつ楽になってきます。
代わりにお友達同士のトラブルなど、心と頭が痛くなるようなことが増えてきます。
小学校、中学校と学年が上がるにつれて内容もより複雑になり、大人社会の縮図のように感じることもあるでしょう。
その頃は体の成長も著しく、声変わりしていたり、身長が同じくらいになっていたりします。
「いつまで大変な日々が続くのだろう?」と、ついこの間まで思っていたのが、
「嫌がらずに一緒に出かけてくれるのはいつまでだろう?」
「こんなにお喋りしてくれるのはいつまでだろう?」
と、「いつまで」の意味が変わってきます。
今までとは違う、心で寄り添う子育てに変わったのです。
子育てに終わりはない
息子がまだ小さい時に、内科の待合室で80歳代のおばあちゃんに「お子さん可愛いわね、いくつ?」と、声をかけられたことがあります。
息子に話しかけてくれるその声と表情は懐かしさに満ちていて、とても素敵でした。
そして別れ際におっしゃった言葉に、私は腰を抜かしました。
「うちの息子は今年還暦なのですが、いくつになっても可愛くてたまりません。」
息子が大きくなった今、その言葉が理解出来るようになりました。
親の手助けがいらなくなっても、身長が伸びても、そこにいるのは変わらずに可愛くて愛おしい息子。
心だけは、常にかけ続けていてあげたいです。
自分が生きている限り、子育てに終わりはないと理解しました。
そして、それを喜んでいる自分を発見して嬉しく思う今日この頃です。